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収益認識に関する会計基準について

我が国における企業会計原則の損益計算書原則では、「売上高は実現主義の原則
に従い、商品等の販売又は役務の給付によって実現したものに限る。」とされて
いますが、包括的な会計基準は開発されてきませんでした。

しかし、国際会計基準審議会(IASB)と米国財務会計基準審議会(FASB)は、
共同で収益認識に関する包括的な会計基準の開発を行っており、平成26年5月
には「IFRS第15号(IASB)」、「Topic 606(FASB)」を公表しています。

そこで、企業会計基準委員会(ASBJ)は、平成27年3月に我が国における収益
認識に関する包括的な会計基準の開発に向けた検討に着手することを決定しま
した。

今回は、企業会計基準委員会が開発し、草案を公表した収益認識に関する会計
基準について、ご紹介します。

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■収益認識に関する会計基準の提案内容

企業会計基準委員会は平成29年7月20日に、企業会計基準公開草案第61号
「収益認識に関する会計基準(案)」等を公表しました。
では、基本的な提案内容について見ていきましょう。

<適用範囲>
次の6つを除き、顧客との契約から生じる収益に関する会計処理及び開示に適用
します。

(1)「金融商品に関する会計基準」の範囲に含まれる金融商品に係る取引
(2)「リース取引に関する会計基準」の範囲に含まれるリース取引
(3)保険契約
(4)顧客又は潜在的な顧客への販売を容易にするために行われる同業他社との
   商品又は製品の交換取引
(5)金融商品の組成又は取得に際して受け取る手数料
(6)「特別目的会社を活用した不動産の流動化に係る譲渡人の会計処理に関する
   実務指針」の対象となる不動産の譲渡

<会計処理の基本原則>
約束した財又はサービスの顧客への移転を、当該財又はサービスと交換に企業が
権利を得ると見込む対価の額で描写するように収益の認識を行うという基本原則
のもと、収益を認識する基準として5つのステップを適用します。

・ステップ1:契約の識別
       当事者が契約を承認し、それぞれの義務の履行を約束している。

・ステップ2:履行義務の識別
       企業と顧客との契約において企業が負う履行義務とその充足内容が
       個々に識別できている。

・ステップ3:取引価格の算定
       財又はサービスの顧客への移転による対価が明確である。

・ステップ4:履行義務への取引価格の配分
       履行義務ごとに取引価格が配分されている。

・ステップ5:履行義務の充足による収益の認識
       履行義務を充足し顧客へ資産(財・サービス)の移転をした時
       (履行義務の充足)に収益認識する。

■新会計基準による影響について

今回提案されている会計基準が採用された場合、最も大きな影響が出るものは
「売上高」です。

例えば、メーカーが小売店に向けて支払う販売奨励金(リベート)が見込まれる
場合、あらかじめ売上高からリベート分を差し引いて計上するようになります。
また、商品の所有権を仕入れ先に残したまま販売(委託販売)を行う百貨店や
書店などの場合、これまでは販売と同時に仕入れと売り上げを計上してきました。
しかし新会計基準では販売額から仕入れ額を差し引いた手数料部分のみを計上
することとなります。
さらに、割賦販売の場合、これまでは入金ごとに売り上げを計上していましたが、
新会計基準では販売時に一括して売上高を計上するように変わる予定です。

これらのように、業種によっては、収益を認識する時期や計上金額が現行と
変わるため、売上高が大幅に変わるなど大きく影響を与える可能性があります。

■適用時期と早期適用について

原則として、平成33年4月1日以後に開始する連結会計年度及び事業年度の
期首から適用することとし、別途早期適用の定めを設けています。

<早期適用について>
(1)平成30年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用
   します。
(2)1に加え、平成30年12月31日に終了する連結会計年度及び事業年度から、
   平成31年3月30日に終了する連結会計年度及び事業年度までにおける
   年度末に係る連結財務諸表及び個別財務諸表から適用できます。

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今後は、企業会計基準委員会に寄せられたコメント等を踏まえて、内容が
再検討される見込みです。正式にどのような会計基準となるのか、動向を
見守りたいものです。

(2017/10/06)

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