トライアル雇用を徹底解説!助成金の受給要件や制度のメリット・デメリットなど

  • 経営・マネジメント

人事向け、経費削減、採用・人材確保

2018年10月31日

採用コストの削減や入社後のミスマッチ(短期間で退職してしまう)を防ぐための対策は、企業の人事や採用担当者の頭を悩ませる内容かと思います。特に、時間をかけてせっかく採用したにも関わらず短期間で退職されてしまっては、労力的にもコスト的にも大きなデメリットとなるでしょう。

そこでご紹介したいのが「トライアル雇用」という制度です。特定の労働者を試用雇用することで能力と適性を見極めることができ、また助成金を受給することができます。
今回は、トライアル雇用について概要や受給要件、申請方法などを詳しく解説いたします。

トライアル雇用とは?

「トライアル雇用」とは、長期のブランクや就業経験の不足などから就業が難しいと判断された求職者の救済措置として作られた制度です。
原則3ヶ月間の期間中トライアルとして現場で就業することで、企業側と求職者側の双方が職場・業務への適性を見極めることができます。

ただし、求職者であればだれでもトライアル雇用の対象者となるわけではありません。トライアル雇用は「一般トライアル雇用」と「障害者トライアル雇用」の2種類に分けられており、それぞれ以下のような条件を満たす必要があります。

■一般トライアル雇用の対象者
以下のいずれかの用件を満たす必要があります。

・紹介日(※)時点で、就業経験のない職業で働くことを希望している
・紹介日時点で、学校卒業後3年以内、かつ卒業後安定した就業経験がない
・紹介日の前日から過去2年以内で、離職及び転職経験が2回以上ある
・紹介日の前日時点で、パートやアルバイトなども含め、一切就業していない期間が1年を超えている
・紹介日の前日時点で、妊娠・出産・育児を理由に離職してから1年以上、安定した職業に就いていない
・生活保護受給者、母子家庭の母等、父子家庭の父、日雇労働者、季節労働者、中国残留邦人等永住帰国者、ホームレス、住居喪失不安定就労者のいずれかに該当している

■障害者トライアル雇用の対象者
「障害者の雇用の促進等に関する法律 第2条第1号」に定める障害者に該当しており、かつ以下のいずれかの用件を満たす必要があります。

・紹介日時点で、就業経験のない職業で働くことを希望している
・紹介日の前日から過去2年以内で、離職及び転職経験が2回以上ある
・紹介日の前日時点で、離職期間が6ヶ月を超えている
・重度身体障害者、重度知的障害者、精神障害者に該当する

ちなみに、以下に該当する方は対象者にはなりませんので、注意が必要です。
・自ら事業を営んでいる人または役員に就いている人で、1週間当たりの実働時間が30時間以上の人
・学校に在籍中で卒業していない人(卒業年度の1月1日以降も卒業後の就職の内定がない人は対象)

紹介日とは、対象労働者がハローワークや職業紹介事業者等から職業紹介をされた日のことを指します

トライアル雇用のメリット・デメリット

トライアル雇用という制度は、企業側と求職者それぞれにメリットとデメリットがあります。助成金の受け取りや就業機会の拡大など、メリットに注目が集まりやすい制度ですが、デメリットについてもきちんと把握しておきましょう。

■企業側のメリット・デメリット
<メリット>
・履歴書や面接だけでは判断ができない職場への適性や業務スキルについて、3ヶ月かけて見極めることができる
・本採用後のミスマッチを防げる
・助成金を活用することで、結果として採用コストを抑えることができる
(対象者1人あたり月額4万円~8万円)

<デメリット>
・採用コストが抑えられる一方、教育や育成にかかるコストならびに時間(期間)が増える可能性がある
・受け入れる側である職場の負担が増える可能性がある
・計画書の提出など、助成金申請の手続に手間がかかる

■求職者側のメリット・デメリット
<メリット>
・未経験での就業機会が広がる
・書類選考が禁止されているため、面接までのハードルが低くなる
・職場の雰囲気なども体感できるためミスマッチを防げる

<デメリット>
・トライアル雇用の結果、不採用の場合でも職歴として残る
・複数の企業に応募することができず、トライアル雇用中は他の事業所でのトライアル雇用の紹介もできないため、慎重に応募する必要がある

トライアル雇用助成金の受給要件

トライアル雇用の助成金を企業が受け取るためには、20項目以上ある要件「すべて」を満たしている必要があります。以下に「一般トライアル雇用」を行う際の代表的な項目をご紹介します。

・ハローワークや紹介事業者等からトライアル雇用の対象者として紹介された上でトライアル雇用に至った
・ハローワークや紹介事業者等から紹介される前の時点で対象者を雇用することを約束していない
・トライアル雇用を開始した日の前日から過去3年の間、対象者を雇用したことがない、かつ職場適用訓練を行ったことがない
・トライアル雇用で雇い入れた対象者の雇用保険被保険者資格取得の届け出を行っている
・トライアル雇用で雇い入れた対象者に対して、期間中の賃金(時間外手当や休日手当等も含む)を支払っている

詳しく知りたい方は、都道府県労働局・ハローワークまでお問い合わせいただくか、厚生労働省のホームページにも案内が掲載されておりますので、ご確認下さい。また、「障害者トライアル雇用」の受給条件も別途ありますので、あわせてご確認下さい。

トライアル雇用の流れ

トライアル雇用を活用するためには、はじめに企業が管轄のハローワークや職業紹介事業者に「トライアル雇用求人」を提出して面接をします。採用を決定した場合は有期雇用契約を締結し、雇用開始から2週間以内にハローワークや職業紹介事業者に「トライアル雇用実施計画書」の提出が必要です。トライアル雇用実施計画書とは、トライアル期間中に行われる予定の指導や訓練の内容や、常用雇用の条件などを明記した書類を指します。

トライアル雇用期間中は業務の指導をしつつ、職場への適用性や人格を見極めて常用雇用の可否を判断します。トライアル雇用終了後は、2ヶ月以内に管轄の労働局へ助成金の「受給申請書」の提出が必要です。2ヶ月を経過すると助成金の受給申請ができなくなってしまいます。万が一、期間中に対象者が自己都合で離職した場合や、有期雇用契約期間終了を待たずに常用雇用に切り替えた場合は、支給額や受給申請ができる期間が変わるため速やかにハローワークや管轄の労働局へ連絡しましょう。

まとめ

トライアル雇用は、企業側と求職側の双方の理解を深めることができる制度です。助成金が支給されることはコスト面を考えても非常にメリットがあると言えますが、この制度の主旨は「雇用のミスマッチを防ぎつつ、新たな雇用を創出すること」であることを忘れてはなりません。

様々な業種・業界で人材不足が叫ばれる昨今、どのようにしてコストを抑えつつ自社に合う人材を確保すれば良いのかを悩んでいる人事や採用担当者は多いのではないでしょうか。

そのような場合に選択肢の一つとして考えられるのが、このトライアル雇用の制度です。制度について理解を深めた上で、活用するか検討されることをおすすめします。

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