消費税増税にともなう企業への影響と軽減税率制度について

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会社経営、経理向け、消費税

2018年11月14日

2019年10月より、消費税(及び地方消費税)が引き上げられることになりました。
2014年以来、5年ぶりの消費税の増税ですが、消費税の増税は消費者だけでなく、ものやサービスを提供する企業側にも決して小さくない影響を与えます。

そこで今回は、実際に今回の増税が企業にどのような影響を与える可能性があるのか、また企業が行うべき対応についてまとめました。

目前に迫る消費税増税、企業への影響は?

消費税は1989年に導入されて以降、3%、5%、そして8%と徐々に上がってきました。8%になったのは2014年4月でしたが、その後も税収を増やすべく増税が決定、当初は2015年10月に10%になる予定でした。しかし、経済状況を鑑みて延期され、2019年10月になったという経緯があります。

消費税は商品やサービスを取引する際に課税されるもので、消費者が負担して事業者が代わりに納付します。消費税が上がれば当然消費者が支払うべきお金が増えますので、国民の生活や経済、事業に大きな影響が出ると言えるでしょう。

一部例外として、事業者のなかには消費税が免除される「免税事業者」がいます。免税事業者とは、課税期間のうちの基準期間において、課税売上高が1,000万円以下の事業者を指します。原則として、個人事業主の場合は前々年の課税売上高、法人の場合は前々事業年度の課税売上高が1,000万円以下であれば、消費税を納める必要がありません。該当する事業者の場合は、影響は出にくいと言えます。

増税による企業への影響ですが、例えば消費税が上がる前に必要なものを買い溜めしようとする「駆け込み需要」の発生が考えられます。逆に消費税が変更されたあとには、顧客からの値下げの要求や、エンドユーザーの購買意欲の低下などの事態が起こり得るでしょう。
実際、前回(2014年)の増税時にも駆け込み需要の増加とその反動による増税後の需要低下という問題が起き、同じ失敗を繰り返さないために国が対策に乗り出しています。

その国の対策の一つが、軽減税率制度という「一部品目において増税を免除する」制度の導入です。導入の背景は消費者側への配慮ですが、企業側への影響としては経理処理において複数税率への対応が求められるようになることで、より処理が複雑化することが予想されます。

そもそも軽減税率制度とは

これまでは、すべての品目について一律で増税がなされてきました。しかし、2019年10月の増税に関しては「軽減税率制度」が導入され、2つの品目に関して消費税を8%のまま据え置くことが決定しています。その品目とは
「酒類・外食を除く飲食料品」
「週2回以上発行される新聞(定期購読契約に基づくもの)」
です。これらは国民の生活の質に直結する品目であり、低所得者層への配慮という観点で導入されました。

これにより、企業は消費税が「10%の品目」と「8%の品目」に分けて経理処理をしなければならないのです。該当する品目を商品として取り扱う企業はもちろんのこと、それ以外の企業も注意する必要があります。なぜなら、経費の計算をする際に複数税率について考慮する必要があるからです。例えば、会議のためにお昼ご飯を手配するとします。この場合、ケータリングをするならば消費税は10%ですが、出前を取るとなると8%、テイクアウトをするなら8%、外食なら10%、とその方法によって消費税が変わってくるのです。これまでは“交際費”や“会議費”などで一括して計算していたものが、その内容によって経理処理を変えなければならなくなります。

消費税増税に向けた企業の対応について

今回、初めて「軽減税率」への対応が必要となりますが、混乱を起こさないためにも、新制度について熟知し、またそれに対応した体制を整えておく必要があるといえるでしょう。そこで、複数税率における帳簿及び請求書等の記載と保存について国税庁が発表している内容をご紹介します。

前項でご紹介した軽減税率の対象となる品目について、売上や仕入れ・経費として取り扱うことになる事業者は、これまでの記載項目に加えて「税率ごとの区分を追加した」請求書の発行や記帳などの経理処理を行うことになります。
軽減税率の対象品目である旨を記載することに加え、請求書には「税率ごとに合計した税込対価の額」も記載する必要がある点にご注意ください。

会計ソフトやシステムの変更も必要です。複数税率によりこれまでとは計算方法が変わるため、それに対応した内容にしなければなりません。それに加え、関連部署や請求書の作成・経費処理をする担当者等への周知も忘れずに行いましょう。

また、リース契約に関しては以前消費税が8%に引き上げられた時同様、リース開始時点での税率で仕訳処理を行い申告するため、留意しておく必要があります。

まとめ

贈答用の食品や会議・接客用の茶菓子の購入なども軽減税率の対象となるため、今回の増税は実際のところほとんどの事業者に影響を及ぼすと言えます。

もしコスト面などで対応が難しい場合、国の制度を活用できないかを検討してみることをおすすめします。売上げ又は仕入れにおける税率区分が困難な中小事業者に限り、税額計算において特例措置(経過措置)が設けられているほか、「中小企業・小規模事業者等消費税軽減税率対策補助金」という補助金を国が用意してくれています。

この補助金は「複数税率対応レジの導入費用」や「受発注システムの改修費用」における経費の一部を補助してくれるもので、例えば小売業などの発注システムの改修の場合は最大1,000万円までの補助を受けることができます。

これらのような制度の活用の検討も含めて、早めの準備を進めておきましょう。

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