過去最高額を更新!2018年10月からの最低賃金の引き上げについて

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経営管理、給与、最低賃金

2018年12月25日

2018年10月より各都道府県で引き上げられた「最低賃金」ですが、最低賃金が時給で表されるようになった平成14年度以降で最高の引き上げ額となりました。
既に2018年10月の改正による引き上げ額を確認されている経営者の方も多いと思いますが、そもそも最低賃金制度とはどのような制度かを確認すると共に、今後も引き上げが続くことが予想される中で企業として生産性の向上のためにどのような取組を行うべきかを解説します。

最低賃金制度とは

最低賃金制度とは、「最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならない」とする制度です。
最低賃金には、「地域別最低賃金」と「特定最低賃金」の2種類があり、地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には罰則も定められています。
尚、最低賃金は、毎月支払われる基本的な賃金(基本給と諸手当(※))が対象です。

(1)地域別最低賃金
産業や職種に関わらず、またパートタイマー、アルバイト、臨時、嘱託などの雇用形態や呼称の違いを問わず、都道府県内の事業場で働くすべての労働者とその使用者に適用されます。

(2)特定最低賃金
特定の産業について設定されている最低賃金のことで、各都道府県内の特定の産業について決められているものと、全国単位で決められているものがあります。(平成29年4月1日現在、全国で233件)

諸手当のうち、精皆勤手当、通勤手当、家族手当は対象外です

最低賃金の見直しについて

ご存知の方も多いかと思いますが、最低賃金の見直しは毎年10月頃に定期的に行われています。ここ数年は年3%程度の引き上げが続いていますが、これは政府が平成29年3月28日に決定した「働き方改革実行計画」の重点政策の一つとして掲げられたことが大きいでしょう。中期的な目標としていた「最低賃金1,000円」も、東京都などの地域では実現が近づいてきました。

労働者にとっては最低賃金が上がり所得が増えることは歓迎すべきことではありますが、中小企業にとってみれば喜んで歓迎できるか・・・というと難しいところでもあります。
人件費が切迫された結果、新規採用の取り止めや雇用を削減せざるを得ないという負の循環に陥ってしまうと、国にとっても企業にとっても良くない結果になります。可能な限り負担の少ない形で継続的に賃金を上げるためにどうすれば良いかを、企業任せにせず国としてもしっかり考えて欲しいところです。

2018年10月の改正による最低賃金は?

2018年(H30年)10月の全国最低賃金時間額は以下の通りです。

「平成30年度地域別最低賃金改定状況」(厚生労働省[Webサイトはこちら])を加工して作成

東京都の場合、958円から27円引き上がり「985円」となりました。
特定最低賃金については、現時点(2018年12月12日)で決定している地域・産業もありますが、まだ発行前(予定されている)の地域・産業も多いため、厚生労働省や各地方自治体のHPなどで確認されることをお勧めします。

ここで気をつけるポイントが、「発効年月日」です。発行日は労働日を基準として考える必要があるため、東京都であれば10月1日からの労働日については新しい最低賃金で支払う義務があります。今回の改定であれば群馬県や宮崎県など、月の途中が発効日となっている場合でも、発行日を堺に新しい最低賃金で計算しなければなりませんので、間違えないようにしましょう。

政府が求める「生産性の向上」とその事例

中小企業にとっては働き手の慢性的な不足に加え、最低賃金の引き上げによる人件費の圧迫により、雇用問題は深刻なものとなっています。
そのような状況の中、中小企業に求められていることは「生産性の向上」です。

この中小企業の生産性向上という問題に対し、厚生労働省は相談窓口の開設や専門家の派遣、「業務改善助成金」の支給などのサポートを行っています。これらの支援により生産性が向上したという事例を2つほどご紹介します。

(1)建設業A社の事例~勤怠管理ソフトの導入で作業効率向上~

これまでA社で行っていた建設現場の管理は、現場責任者と事務所間で電話やメールで確認するという方法でした。
具体的には、事務所で管理している現場全体の進行状況予定表を写真で撮影し、現場責任者にメール添付で送付し進捗を周知、また、現場の労働者や下請け業者の勤怠管理については、「今日は誰が出てきていて誰が休み・・・」など毎日電話でやり取りしていました。

そこでA社は助成金を活用し、現場管理ならびに勤怠管理を一括で管理できるスマートフォン用のアプリケーションソフトを導入しました。
工事現場の今後の詳細な予定や進捗状況を一元管理できたことで現場責任者がスマートフォンで確認できるようになり、事務所側からの情報提供の手間が無くなりました。また、勤怠管理に関してもスマートフォンで勤怠入力できるようになっただけでなく、時間外労働時間や有給休暇管理も容易に行うことができるようになりました。
結果、現場ならびに事務所における勤怠管理の作業効率が向上。以前より20%程度作業時間を短縮することができ、労働効率を上げることができました。

(2)小売業B社の事例~商品・顧客管理システムの導入で帳簿整理業務の時間短縮~

飲食料品の小売業を営むB社は、注文・配達・集金といった顧客管理についてもエクセルや紙で台帳管理をしていたため、顧客を担当する従業員に確認を取らなければ顧客からの要望に対応できないということが多く、顧客管理やその他の帳簿作成作業に1日2~3時間程度を要していました。また、取り扱う商品の種類が多く、朝と夕方の配達前にそれぞれ2時間かけ在庫チェックと仕分け作業をしていました。

そこでB社は助成金を活用し、バーコードで商品管理と顧客管理ができる管理システムを導入しました。
在庫管理・配達管理等の商品管理業務が一元管理できるようになり、どの従業員も全ての顧客の注文履歴や入金記録といった情報を1つの管理画面から確認できるようになりました。また、商品管理や請求書作成、その他帳簿等の整理業務に要していた時間も1/5程度に短縮され、業務改善につながりました。

まとめ

売り手市場となっている現在、最低賃金が1,000円を超えそうな都市部においても人材不足は問題とされており、否が応でも多くの中小企業は「生産性向上」というテーマに向き合わざるを得ないというのが現状です。

業務改善助成金の受給には賃金引上計画の策定などの要件がありますが、50万円~100万円までの助成金を受け取ることができます。
また、従業員一人ひとりの能力向上・生産性向上を支援する目的として、人材育成や職業訓練を支援するための人材開発支援助成金も用意されています。

この機会をチャンスと捉え企業の競争力を向上させるためにも、経営や職場環境の見直しを検討されてはいかがでしょうか。

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