働き方改革関連法案によって変わる産業医の役割とは?
<後編>【2019年4月施行:働き方改革】

  • 経営・マネジメント

人事向け、産業医、企業の取組

2019年04月03日

2019年4月に施行された「働き方改革関連法案」。「産業医」の在り方が変わり、権限が強化されたことについて、前回ご紹介しました。
今回は、産業医の求めに対し、企業はどのような体制や仕組み作りをする必要があるかについて、ご説明します。

産業医の選任と補助金について

産業医は、常時50人以上の労働者を使用する事業場の場合に1人以上選任する必要があり、これは事業者の義務となっています。この「常時50人」という人数には、正社員だけでなく契約社員や、派遣社員、パートタイマー、アルバイトであっても、継続して雇用している労働者をカウントしなければならない為、注意しましょう。

また、労働者数が50人未満の事業場については、産業医の選任義務はありませんが、労働者の健康管理を医師などに行わせるように努める必要があります。
労働者の健康面の管理やメンタル面のケアなどを考えた場合、小規模の事業場であっても産業医による面談や指導の実施を検討するかと思いますが、費用面での負担は少なくありません。

そこで国では、小規模の事業場を対象とした「小規模事業場産業医活動助成金」を設けています。この「小規模事業場産業医活動助成金」は、「産業医コース」、「保健師コース」、「直接健康相談環境整備コース」の3種類が用意されており、実際に産業保健活動が行われた場合に実費を助成するタイプと、労働者が産業医または保健師と直接健康相談できる環境を整備するための費用を助成するタイプがありますので、活用されてはいかがでしょうか。

改正によって企業が取るべき4つの対策とは

労働安全衛生法改正によって、これまで努力義務であったことが義務化されただけでなく、産業医の権限が法的な効力を持ったことで、事業者として講ずべき措置も増えています。
前回、この改正の大きなポイントは、「産業医・産業保健機能の強化」と「長時間労働者に対する面接指導の強化」の2点であるとご紹介しました。
今回は、企業として何をすべきかに注視し、「長時間労働者に対する面接指導の強化」ならびに「産業医・産業保健機能の強化」のうち「健康相談の体制整備、健康情報の適正な取扱い」についてご紹介します。

(1)客観的な労働時間の状況の把握

まず大前提として、管理職を含むすべての労働者に対し、労働時間・勤務状況を客観的な方法により把握する必要があります。客観的な方法とは、タイムカードによる記録、パソコン等の電子計算機の使用時間(ログインからログアウトまでの時間)の記録などです。
やむを得えず客観的な方法により把握することが難しい場合は、労働者による自己申告も認められています。しかし、労働者へ適正に行うことを十分説明することや、自己申告された時間と実際の労働時間に差異がないか、必要に応じて実態調査をすることなど、5つの措置全てを行う必要があります。
もちろん客観的な記録を行うためには設備を整えるなど、時間や費用もかかりますが、残業時間の上限規制の観点からも適正に記録するための対策をされることをおすすめします。

また、把握した労働時間状況の記録を作成し、3年間保存しなければならず、そのための措置をすることとされています。

(2)時間外・休日労働時間が月80時間超の労働者の情報提供

労働時間を把握した上で、もし面談対象となる「時間外・休日労働が月80時間を超えた」労働者がいた場合には、労働者の氏名・総労働時間や時間外・休日労働時間数を速やかに産業医へ報告する必要があります。もちろん、労働者本人にも速やかに通知しなければなりません。
尚、該当となる労働者がいない場合でも、「該当者なし」という情報を産業医に提供する必要があります。

また、新技術・新商品などの研究開発業務に携わる人、高度プロフェッショナル制度を適用した人に対しても、それぞれ面談指導が必要となる要件がありますので注意が必要です。
■研究開発業務従事者
時間外・休日労働時間が1月当たり100時間を超えた際

■高度プロフェッショナル制度適用者
健康管理時間が1週間当たり40時間を超えた場合、その超えた時間が1月当たり「100時間」を超えた際

この要件に該当する場合は、本人からの申し出がなくとも医師による面接指導を行わなければならず、もし面談を行わなかった場合には50万円以下の罰則の適用があります。

(3)健康相談を受けられる体制の整備

保健指導、面接指導、健康相談等を行う際には、プライベートな情報や機微な内容も含まれる可能性があります。そのため、労働者が安心して産業医と会って話ができる環境を整えなければなりません。
事業場で面談や相談を行う際には、プライバシーが確保できる場所を用意しましょう。もし、面談希望者が休職中で会社に出て来づらいという場合には、社外で面談を行うよう配慮するなど、労働者に寄り添った体制を考えるようにしましょう。

また、産業医との健康相談や面談を希望したい際にどのように申請すればよいか、その方法を周知する必要があります。さらに、産業医がどんな業務を行っているのかについても周知させる必要があります。
周知の方法としては、事業場に掲示板等を設置しポスターなどを貼る、書面にして交付する、企業内ネットワーク上に掲示するなどの方法が考えられます。

(4)労働者の健康情報の管理

保健指導や面接指導を行った結果や健康診断結果の管理についても、取り扱いについて事業場内でのルールを設けてくださいとされています。
例えば、労働者の健康に関する情報については施錠されたキャビネットに保管し、もし人事総務部の人が閲覧する場合であっても、特定の業務従事者のみが閲覧可とするなどです。取扱方法を定めたら、労働者に周知させる(労使で共有する)必要があることも忘れてはなりません。
厚生労働省が策定した「労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために事業者が講ずべき措置に関する指針」(平成30年9月7日公表)には、取扱規定に定めるべき具体的な内容について示されているため、参照されることをおすすめします。

まとめ

産業医は、医学という知識の観点から従業員の健康と安全を確保し、生産性を向上させるために欠かせない存在です。「働き方改革関連法案」の施行により、企業としても様々な対応が求められていますが、“義務”として対応するのではなく、産業医は一緒により良い職場を作るパートナーと位置づけ、前向きな気持ちで体制の整備などをされてみてはいかがでしょうか。

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