電子記録債権とは

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経理、電子記録債権

2017年12月04日

「でんさい」という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。でんさいとは、「電子記録債権」の略称です。
手形や売掛債権を電子化しただけのものと想像される方も多いかもしれませんが、実は、手形や売掛債権で発生しがちな問題点を解決できる新しい金銭債権のことです。取引先との間に発生する請求・支払い手段の効率化を図るために創設されました。
そこで今回は、「電子記録債権」について、その内容と利用するメリットなどをご紹介します。

電子記録債権とは

中小企業の中には、取引先との決済に手形を用いる企業も多く、それに関連して売掛債権を多く保有する場合も少なくないのではないでしょうか。

ただ、手形や売掛債権等の債権には、次のような問題がありました。
 ・手形の作成や交付、手形用紙の保管にコストがかかる
 ・紛失・盗難のリスクがある
 ・記載事項が限定される
 ・分割が不可である
 ・譲渡対象債権の不存在・二重譲渡のリスクがある
 ・売掛金等の債権譲渡を行う為には、債務者への通知等が必要である

これらの問題を解決できる方法があります。それが「電子記録債権」です。
電子記録債権とは、中小企業の資金調達の円滑化等を図ることを目的に、平成20年12月施行の電子記録債権法のもとで創設された新しい金銭債権のことです。電子債権記録機関の記録原簿への電子記録をその発生・譲渡等の要件としています。
電子記録債権を利用することで、次のようなメリットが得られます。特に、手形の発行回収が多い企業には幾つものメリットがあります。

<手形を電子記録債権に変更するメリット>
 ・電子データの送受信等により債権の発生・譲渡が可能なので、交付時のコストを軽減できる
 ・電子データで管理できるので、保管時のコストを軽減できる
 ・電子債権記録機関の記録原簿によって管理されるため、盗難・紛失のリスクを軽減できる
 ・任意的記録事項が許容される
 ・分割が可能になる

<債権を電子記録債権に変更するメリット>
 ・電子記録により債権の存在・帰属を可視化できる

電子債権記録機関は、国からの指定を受けた機関であり、その代表的なものに、一般社団法人全国銀行協会が設立した「でんさいネット(株式会社全銀電子債権ネットワーク)」があります。
電子記録債権は、主務大臣(内閣総理大臣および法務大臣)の検査、監督のもと、電子債権記録機関により記録原簿のバックアップをはじめ、セキュリティーが十分に確保されています。また、電子記録債権は手形に必要だった印紙税は不要となります。

電子記録債権の利用方法

でんさいは次のような方法で利用できます。ここでは、全銀行参加型の「でんさいネット」についてご紹介します。

(1)窓口金融機関を通じてインターネットバンキングを利用、あるいは記録請求依頼書を提出して、利用者登録を行う。
(2)利用承認通知が届いたら利用可能。
(3)でんさいの発生
→窓口金融機関を通じ、でんさいネットの記録原簿に「発生記録」を行う。
発生記録とは:債務者情報・債権者情報・債権金額・支払期日・決済方法・記録番号等

(4)でんさいの譲渡
→窓口金融機関を通じ、でんさいネットの記録原簿に「譲渡記録」を行う。必要に応じて債権を分割して譲渡することもできる。記録原簿に「分割記録」を行う。
譲渡記録とは:譲渡人情報・譲受人情報等
分割記録とは:親債権には分割後の債権金額・子債権の記録番号等子債権には発生記録・債権者情報・債権金額・子債権の記録番号・親債権の記録番号等

(5)でんさいの支払い
→支払期日になったら、自動的に支払企業の口座から資金が引き落とされ、納入企業の口座へ払い込まれる。支払いが完了したら、でんさいネットが
「支払等記録」を記録。

でんさいネットに対しては、発生記録請求、譲渡記録請求、分割記録請求をすることができます。また、でんさいネットを利用するには利用料がかかる点については留意しておきましょう。

まとめ

中小企業などの事業者が円滑に資金を調達するために創設された電子記録債権。集金や支払い業務の効率化や事務手続などにかかるコストの削減を図ることができ、安全かつ迅速に経理事務を行うことができます。メリットが多い電子記録債権の利用を検討してみてはいかがでしょうか。

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