今さら聞けない36協定の基礎知識!残業時間の上限は?

  • 経営・マネジメント

マネジメント、労務管理、残業

2018年05月29日

部下のマネジメントが求められるマネジメント層や経営層の方にとって、残業と密接な関係のある36協定への理解は必須で抑えておくべきポイントです。

しかし、36協定という言葉についてはなんとなく知っていても、具体的な取決め内容や残業時間の上限など、詳しくはよくわからないという方も多いのではないでしょうか。今回は、経営・マネジメント層の方に向けて、今更周りには尋ねにくい36協定の基礎知識や、定めなければならない内容などを再確認すると共に、会社経営における残業管理の重要性について解説をします。

36協定とは

36協定とは、時間外と休日の労働に関する労働協定のことです。正式には「時間外・休日労働に関する協定届」といい、労働基準法第36条で定められた内容を基に締結される協定であるため、一般的に36協定と呼ばれています。(ちなみに読み方は「さぶろくきょうてい」です)
36協定は、従業員に法定労働時間を超過する労働を課したり、法定休日に労働をさせたりする際に締結しなければいけません。もしも、36協定を結ばないまま法定労働時間や法定休日の規定に違反した労働を課した場合、労働基準法に抵触します。

法定労働時間とは、労働基準法によって定められた労働時間の上限のことです。労働基準法では、1日に8時間、1週間に40時間を超過する労働を、従業員に課してはならないことになっています。
例外的に、従業員が9人以下で、かつ業種が商業(卸売業・小売業 等)や映画製作事業を除く映画演劇業、保健衛生業や接客娯楽業の事業所(特例措置対象事業場)においては、法定労働時間が1週間に44時間と定められています。

一方で法定休日とは、従業員に最低限与えなければならない休日を指します。こちらも労働基準法によって定められており、毎週1回、若しくは4週間で4日以上の休日を与えなければいけません。

従業員のうち1人でも法定労働時間外、又は法定休日での労働が発生する場合、必ず36協定の締結が求められます。36協定は締結すれば終わりではなく、締結完了後に労働基準監督署に届け出る必要があるので注意しましょう。

時間外労働や休日労働を発生させない、若しくは極力減らすべく、事業の達成目標やスケジュールなどを慎重に管理するのも経営者や管理職の役割です。

36協定における残業時間(時間外労働)の上限について

36協定を締結することで、たとえ労働時間外であっても、従業員に「残業」という形で労働を課すことは可能です。しかし、労働基準法によって残業時間にも上限が定められており、1日・1カ月・1年などの期間によって、延長できる残業時間の限度が決まっています。
延長できる残業時間の限度は、以下の通りです。一般の従業員の場合と変更労働時間制(特定の条件のもとで、1カ月もしくは1年単位で労働時間を調整することができる制度)の対象となっている従業員とで上限が異なる点に注意が必要です。

<一般の従業員の場合>
1週間:15時間 2週間:27時間 4週間:43時間
1カ月:45時間 2カ月:81時間 3カ月:120時間 1年:360時間

<1年単位の変形労働時間制の従業員が対象の場合>
1週間:14時間 2週間:25時間 4週間:40時間
1カ月:42時間 2カ月:75時間 3カ月:110時間 1年:320時間

ただし、特別の理由があるときに限り、36協定に特別条項を付与することで従業員を規定の上限以上の時間外労働に従事させることも可能です。特別な理由として認められるのは、基本的に突発的な理由であり、上限時間の超過状態が半年以内である必要があります。さらに、時間外労働には割増賃金率を適用させなければならず、その旨を就業規則にも規定しなければいけません。

時間外労働に対する割増賃金率は、法定割増賃金率である25%以上の率が求められます。また、時間外労働が1カ月で60時間を超過するときは、割増賃金率を50%以上に設定するか、従業員に割増賃金の引き上げ分相当の代替休暇を与えることも必要です(※)。

36協定を締結するためには、法定労働時間を超過する労働や、法定休日に労働を課す具体的な事情を協定書に明記しなければいけません。その他にも、時間外労働・法定休日労働をさせる業務の種類と労働者の数、休日労働をさせる休日、協定の有効期限の記載など必要な項目は多岐に渡ります。

※現在、中小企業については時間外労働が月60時間超となった場合の「法定割増賃金率引き上げの適用」を猶予されています(これに伴い、代替休暇も適用されないこととなっています)。ですが、平成35年4月1日から適用猶予が廃止される予定です。

時間外労働の上限が適応されない4事業

特例として、以下の4つの事業においては36協定が適用外となり、残業時間に上限がありません。

・土木や建築、工作物など建設関連の事業
・自動車運転業務
・新技術、新商品などの研究開発業務
・季節的要因による業務量変動の大きい業務や公益上集中作業が必要な業務

建築関連の事業や大規模機械・施設の据え付け工事、トラックやタクシーといった自動車の運転業務などがこれに当たります。加えて、IT関連の開発業務やマーケティングリサーチ、郵政事業の年末年始業務や造船事業なども該当します。
協定が適用されない主な理由としては、労働条件が36協定の規定にそぐわず、特定の期間に集中して業務に当たる必要があるためです。

正しい労務管理が会社の生産性の向上に繋がる

いくら36協定を締結したからといっても、従業員に長時間の時間外労働や休日労働を安易に課して良いということではありません。負担の大きい労働は、従業員の心身を健全に保てなくなる可能性があるだけでなく、「過労死」「ブラック企業」などが問題視される社会情勢のなか、労働基準法に違反した労働を課すことで、会社としてのモラルを追及され、社会的立場の危機に瀕するケースもあります。

働き方改革の動きからみても「残業時間の削減・長時間労働の解消」は最も重要なテーマであると言えるでしょう。しかし、残業時間を削減することだけに目がいってしまった結果、仕事が回らなくなってしまっては本末転倒です。
無駄な残業はさせず、業務に必要な残業を適正な時間で行ってもらうために、例えば残業を申請制にするという方法があります。残業時間の定義を、経営者若しくは管理者の指揮命令下にある時間とし、残業する目的・時間を指揮命令者に申請します。残業時間の業務を指揮命令者が管理し、業務内容と時間の妥当性を考えることで、無駄な残業時間を削減し、会社全体の労務管理と生産性の向上につなげていこうというものです。
管理する立場が“残業”を意識することで、誰にどれくらいの業務負荷がかかっているのかという点が明確になるというメリットもあります。この点がはっきりと見える化されることで、人員配置を最適化するべく早く行動できるほか、生産性の高い従業員に対し適正な人事評価を行うことができます。その効果として、従業員のモチベーション維持や生産性の向上にも繋がるのではないでしょうか。

そもそも、労務管理の重要なポイントは、従業員の意欲が向上するような働きやすい労働環境を作り、従業員一人ひとりがより高い生産性を発揮できるようにすることであり、その結果として会社の利益を上げることができます。

正しい労務管理を行うためにも36協定についての知識を充分に深めていただき、働きやすい労働環境作りを推進しましょう。

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