採用マーケティングの概念と取り組み方について

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人事向け、採用・人材確保、マーケティング

2018年11月14日

企業にとって、優秀な人材を確保することは重要なミッションであり、人事・採用担当者の頭を常に悩ませる事柄ではないでしょうか。
そして先日、経団連が2021年春入社の大学生から就職・採用活動のルールである採用指針を廃止することを正式に発表しました。実質的には現行ルールを継続する方向で調整されそうですが、少なからず混乱が生じることが予想されます。

そのような中、最近注目されているキーワードが採用活動にマーケティングの考え方を取り入れるという「採用マーケティング」手法です。
そこで今回は、より効果的な採用活動を行うための助けとなるべく、「採用マーケティング」の考え方や広まっている背景、取り組む際のポイントなどを解説していきます。

採用マーケティングとは

「採用マーケティング」とは、人材採用の取組に、マーケティングの知識や手法を取り入れた活動全体のことを言います。マーケティングの視点を活用し優秀な人材を効率的に確保するための方法として、注目を集めています。

そもそもマーケティングとは、顧客のニーズを正しく把握し、そのニーズに合致した商品やサービスを提供することです。また、その情報を的確に届け、顧客がその価値を効果的に得られるようにするための活動を行います。つまり、商品やサービスをつくり、宣伝・広報、流通・販売ルートの確保などといった一連の仕組みや企業活動のすべてを指して、マーケティングと呼びます。
この考え方を企業の人材確保に導入したものが、採用マーケティングです。

採用マーケティングの主な目的は、企業が採用したいターゲット=人材のニーズを正確に把握し、そのニーズに合致したコンテンツを提供することです。ターゲットの元に届くよう情報を発信し、魅力を感じてもらうことで入社を促します。
広報活動と似ていますが、両者には微妙な違いがあります。広報活動とは、メディアを始めとした媒体に自社の魅力を情報発信してもらい、認知度を上げることを目的とした方法です。それに対し、採用マーケティングでは、企業自ら自社の魅力をターゲットに向けて情報発信します。絞り込んだターゲットに適切で有効な情報発信を行いたい場合、採用マーケティングのほうが効率的だと言えるでしょう。

採用マーケティングが注目を浴びる背景

採用マーケティングが注目を集める背景には、近年の採用市場において企業間での競争が激化してきていることが挙げられます。
それは、少子高齢化による慢性的な労働人口不足です。企業は自社の成長・発展のため、少ない分母のなかから優秀な人材を見つけ出さなければいけません。

また、海外や異業種からの競合企業参入、飛躍的なテクノロジーの発展・普及なども要因のひとつです。市場や顧客ニーズなどの急激な変化に対応するために、即戦力を集める動きが活発化していることも要因です。

もう一点、多様な価値観や働き方の広がりも、採用マーケティングが注目を浴びる背景だと言えるでしょう。以前は企業の知名度や安定性、年収などが就職先を選ぶ主な判断基準で、働き方に関しても、職場に定時出勤し、定年まで同じ会社に勤めるといった終身雇用のケースが一般的でした。
しかし、仕事における価値観が徐々に変わりつつある中、働き方の選択肢が増えたことで、就職先選びや働き方についての考え方も多様化し、転職市場が盛り上がりを見せています。

そのため、企業側は既存の考え方から脱却し、ターゲットとなる人材に合わせた採用コンテンツづくりや情報発信などを行っていく必要があるのです。

採用マーケティングに取り組む際のポイント

ここからは、採用マーケティングを成功させるためのポイントをご紹介します。過去から現在における自社の業績や特徴、今後の成長や展望に関する情報などを集約し、採用すべきターゲットを明確化した上で、原稿や資料などのコンテンツに落とし込みましょう。
では具体的に、ステップ毎に見ていきます。

■STEP1:自社を分析する

それぞれ企業には特色・カラーがあります。自社の強みは何か、他社に誇れるものは何であるかを分析することから始めてみましょう。新入社員や採用面接に来た方だけでなく、全社員にヒアリングやアンケートを取るなど、情報を集めます。

(アンケートの例)
・応募理由や内定の決め手になったポイントは何か
・求職時、比較していた企業はどこであったか
・他社で印象に残っている会社説明会はあったか
・職場環境でここは誇れるというポイントは何か
・自社と比較し競合他社が優れている点は何か

分析することで、自社のウィークポイントも見えてきます。

■STEP2:ターゲットの明確化

次に、会社の経営方針や経営計画から、どのような人材を何人採用すべきかを検討します。ただ漠然と「何事も前向きに頑張る人」や「○○さんのような人」ではなく、持っていて欲しいスキルや求める人物像を具体的に洗い出し、その要件を「必須」と「持っていたら尚良い」に分類し整理します。
さらに、採用したらどのような仕事を任せたいか、1年後、3年後、5年後にはどのような人材になっていて欲しいか、入社後の未来像までイメージして考えてみましょう。

■STEP3:ターゲットへのアプローチ方法を決める

STEP1で分析した自社の魅力を、STEP2で決めたターゲットに向け、どのようにアプローチするか考えます。
例えば新卒採用者に対しては、新入社員や入社1・2年目の先輩社員が今どのように働いているのか、より自分と近い距離感の社員の現状を伝えるWebサイトを作ってみましょう。任されている仕事をより具体的に説明するだけでなく、働きがいや社風、入社後に身に付けたスキルを紹介することで、自分が働く未来像が見えるのではないでしょうか。
また転職を将来的には検討している潜在層に対しては、会社を認知してもらい、どのような会社か理解してもらうことを目的とした継続的な情報発信をしてみましょう。即戦力として狙いたいターゲットと同じ業務をしている社員に、ブログなどで働き甲斐や企業の魅力を生の声として語ってもらうなども効果的です。

最近では動画配信などを利用し社長の生の言葉を聴いてもらう、一風変わったインターンを行うなど、PRの方法は様々です。コスト面や人事部門の人的リソースなども考慮し、ターゲットとなる人材に優先順位を付け、実践していくことをおすすめします。

最後に、採用面接を行う際には「求めるターゲット像」を面接官と共有しておきましょう。そして、面接時に必ず聞いて欲しい質問を決めておくことで、ミスマッチを防ぐことができるでしょう。

まとめ

採用マーケティングのゴールは、自社の認知拡大ではありません。自社に合う優秀な人材を採用するためには、適切なターゲティングとターゲットごとへの適切なアプローチが重要であることを認識しておきましょう。
しかし、いきなり採用マーケティングを行うといっても、難しいところもあろうかと思います。まずは、現在の採用活動における実績や自社の魅力、ウィークポイントを分析し、課題に感じていることや改善すべきポイントを洗い出すことから着手することをおすすめします。
また、「自社が客観的に見て働きたいと思える会社かどうか」という視点を忘れないようにしましょう。働く社員が自分の会社に対し満足し、魅力的な会社だと感じているのか、それこそが、今後の採用を支える大事なポイントとなるのではないでしょうか。

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