社会保険の電子申請義務化にあたり抑えておくべきポイントとは?

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人事労務向け、電子申請、社会保険

2019年03月06日

2018年3月に、厚生労働省の「『行政手続きコスト』削減のための基本計画」が改定されました。これは特定の手続きにおける「電子申請」を義務化する、というものです。

そこで今回は、電子申請が義務化された背景や対象となる企業についてご紹介すると共に、社会保険に関する手続きの義務化にフォーカスして対象となる届出の種類や電子申請の方法について詳しくご紹介いたします。

義務化の背景や導入時期、導入対象の法人について

電子申請義務化が決まった背景を理解するために、まず2016年6月に閣議決定された「日本再興戦略2016」についてご説明します。

「日本再興戦略2016」は「GDP600兆円経済」の実現を目的としたものであり、事業者の生産性向上を後押しするため、2017年6月の「規制改革実施計画」では行政手続きに費やされる事業者の作業時間を「2020年までに20%削減すること」が定められました。
厚生労働省も「『行政手続きコスト』削減のための基本計画」を2017年6月に策定。翌2018年3月には同計画を改定し、企業内の手続きを簡略化する方法として2020年4月1日から「電子申請」を利用した行政手続きの義務化(※)を決めました。

電子化が義務化される企業の条件は、「大法人(資本金又は出資金の額が1億円超の法人等)、相互会社、投資法人、特定目的会社」とされていますが、今後対象となる企業範囲が拡大される可能性もあります。基本計画の中でも「上記の義務化の要件に該当しない事業所についても、あわせて電子申請への移行を促すこととする」と明記されているため、企業の人事労務担当者は社会保険の電子申請義務化について十分な知識を備えておくことをおすすめします。

『労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則及び厚生労働省関係石綿による健康被害の救済に関する法律施行規則の一部を改正する省令(案)の概要』(厚生労働省)内では、「やむを得ない理由がある場合は次回以降の電子申請を促しつつ、紙での申請を受け付ける」とされ、経過措置として「平成32年4月1日以降開始される事業年度について順次適用」と明記されています。

義務化の対象となる社会保険手続きの種類

電子申請義務化に向けて、現時点(※)で対象となる社会保険手続きの種類について確認しておきましょう。

厚生年金保険 被保険者賞与支払届
被保険者報酬月額算定基礎届
厚生年金被保険者報酬月額変更届
健康保険 被保険者賞与支払届
被保険者報酬月額算定基礎届
健康保険被保険者報酬月額変更届
労働保険 労働保険概算・増加概算・確定保険料申告書・石綿健康被害救済法一般拠出出金申告書
雇用保険 雇用保険被保険者資格取得届
雇用保険被保険者資格喪失届
雇用保険被保険者転勤届
高年齢雇用継続給付金支給申請
育児休業給付支給申請
「行政手続コスト」削減のための基本計画(厚生労働省社会保障審議会年金事業管理部会資料(第36回:平成30年6月4日))をもとに作成

このような書類の多くは、これまで“紙媒体”で申告されてきたものです。これらを電子申請に切り替えることで、従来発生していた「書類を作成し、窓口へ出向き、手続きを行う」という人事労務担当者の手間を大幅に省くことができます。このような業務負荷を削減し、生産性の高い業務に注力できる環境を作ることも、電子申請義務化の目的のひとつと言えるでしょう。また、ペーパーレスになることで紙媒体の管理コスト削減や、漏洩・紛失するリスクの軽減にも繋がります。

自社で電子申請手続きを行う場合の2つの方法

ここまで電子申請義務化の背景や、対象となる手続きについてご説明してきましたが、「急に電子申請すると言われても、何から始めてよいかわからない!」という声もあろうかと思います。ここでは、自社で電子申請手続きを行う方法についてご紹介します。

自社での電子申請を行うにはe-Gov(イーガブ「電子政府の総合窓口」)のサイトを利用するか、外部連携API対応の専用ソフトを利用するか、2通りの方法があります。以下では、それぞれの方法の概要やメリット・デメリットをご紹介します。なお、CD-ROMやDVDなど電子媒体による申請は義務化が始まると認められなくなるため、電子申請への切り替えが必要です。

e-Govサイトから申請を行う場合

e-Govサイトは、総務省が運営する行政情報ポータルサイトです。e-Govサイトから直接入力し申請が行えるほかに、施行されている法令の検索や政策に対して意見の提出もできるなど、国民と政府をつなぐパイプのような役割を担っています。
e-Govサイトから申請を行うためには、パソコンの環境を整えた後、専用のプログラムをインストールなど設定が必要となります。
サイト上で1件ずつデータを入力し申請をおこなうため、大量の手続が発生する企業の方や効率的に申請をしたいと考えている場合には、このあとご説明するAPI対応のソフトを使用することも検討してはいかがでしょうか。

外部連携API対応のソフトを利用し申請を行う場合

外部連携API対応のソフトウエアを使用すると、申請データの作成から、申請、公文書取得までの全ての機能をソフトウエア上から行えるようになるため、Webサイト上からの操作は不要となります。利便性や操作性を考えて作られているほか、既存システムのデータを利用して申請書を作成することができるため、より効率的に申請を行うことができます。
e-Govサイトでは、外部連携APIに対応したソフトウエアやサービスが紹介されていますので、ニーズに合わせて選ぶことが可能です。


尚、どちらの方法でも電子認証登記所(商業登記認証局)などの「認証局」から、電子証明書を事前に取得する必要があります。

まとめ

大法人に対し義務化される、行政手続きの電子申請。これまで紙ベースで行っていた作業を電子化することで、生産性の向上や人事労務担当者の作業負担を軽減することが可能です。また、紙媒体の管理コスト削減や、漏洩・紛失するリスクの軽減といったメリットも着目すべきでしょう。

義務化に向け、新たにシステムを導入するなど対応が求められますが、業務改革や生産性向上のためにも、ぜひ前向きな考え方をもって電子申請化を進められてはいかがでしょうか。

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