スキャナー保存制度の要件緩和と事務効率化

  • 業務改善

経理、スキャナー保存制度

2017年07月03日

平成10年7月に施行された「電子帳簿保存法」の改正で制度化された「スキャナー保存制度」。国税に関する帳簿や書類をデータにより保存することができるという制度ですが、要件が厳しく導入に踏み切れない企業も少なくありませんでした。

しかしその後、平成27・28年度の税制改正により要件が緩和され、以前よりも導入しやすい制度になっています。

そこで今回は、スキャナー保存制度の要件がどのように緩和されたのか、また、それにより得られるメリットをご紹介します。

スキャナー保存制度がなかなか普及しなかった理由

国税に関する帳簿や決算書類や領収書、請求書などの書類は紙の文書で保存することが義務付けられていましたが、平成10年7月に施行を開始した「電子帳簿保存法」により、事前に所轄の税務署長の承認を受ければ、データ保存が可能になりました。

その後、平成17年4月に電子帳簿保存法が改正され、「スキャナー保存制度」が導入され、帳簿や文書をスキャナー保存することが認められるようになったのです。

しかし、領収書・契約書のスキャナー保存は、記載金額が3万円未満のものしか認められませんでした。また、スキャナー保存するには電子署名とタイムスタンプを施す必要があるなど、課せられた制約は厳しいものでした。

国税庁の統計によると、平成27年3月までにスキャナー保存の承認を受けた件数はわずか152件のみ。スキャナー保存制度の導入はハードルが高すぎて、なかなか普及しなかったのです。

スキャナー保存制度の要件緩和

多くの企業が導入に踏み切れなかったスキャナー保存制度でしたが、法的要件の緩和を求める声を受けて、平成27年度税制改正にて電子帳簿保存法の一部が改正され、平成27年9月30日以後に行う承認申請から、スキャナー保存の要件が一部改正されました。改正点は以下の通りです。

◇平成27年9月30日以後の改正点

・スキャナー保存できる契約書や領収書などの国税関連書類は3万円未満のみという制約を廃止し、記載金額に関わらずスキャナー保存が可能

・業務処理サイクル方式(※)の採用に必要だった、“国税関係帳簿に係る電磁的記録等による保存制度の承認”は不要

・スキャナー保存をする際の電子署名は不要

・一般書類(見積書など)のスキャナー保存で必要だった書類の大きさに関する情報は不要

・カラーだけでなくグレースケール(白黒)での保存も可能

※業務処理サイクル方式とは、業務の処理に係る通常の期間を経過した後、1週間以内にスキャナー保存を行う方法のこと


さらに平成28年度税制改正においても、平成28年9月30日以後よりスキャナー保存制度の一部がさらに改正されました。改正点は以下の通りです。

◇平成28年9月30日以後の改正点

・国税関係書類の読み取りには、原稿台と一体型のスキャナーに限定するという要件は廃止となり、スマートフォンやデジタルカメラでの撮影が可能に

・請求書や領収書は受領後、受領した者が署名し、3日以内にタイムスタンプを付与

・小規模事業者の特例が創設・・・これまでは、適正事務処理の要件として、“相互牽制・定期的チェック・再発防止策”のための手続や規定を整備する必要があったが、税理士等の税務代理人が定期的にスキャナー保存に係る事務処理の内容をチェックしている小規模事業者は、「相互牽制」の要件が不要

スキャナー保存制度導入のメリット

要件が緩和されたスキャナー保存制度を実際に導入すると、次のようなメリットが得られます。

・ペーパーレス化
・保管スペースの削減
・事務処理の迅速化
・コスト削減
・情報漏洩の防止
・バックアップデータの作成による災害対策

以前は、証憑や各書類をファイリングして、定められた期間は保管する必要がありました。書類の保管には人件費や保管に要する費用、文書の配送費、廃棄するための費用など、多くのコストや事務処理の時間が必要でした。

スキャナー保存制度を利用すると、これらの費用や事務処理時間を削減できます。また、保存されたデータにパスワードをかけることで、部外者への情報漏洩を防ぐことも可能になります。さらに、バックアップデータを作成することで、災害や火災などで大切な情報を消失するリスクを避けることが可能になるのです。

まとめ

スキャナー保存制度は要件緩和により、利用しやすくなりました。事務処理の負担が減り、作業の効率化が図れる制度です。まだ導入していない場合は、この機会に検討されてはいかがでしょうか。

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