おさえておきたいキャッシュレス決済の基礎知識!3種類の決済方法について

突然ですが、「キャッシュレス決済」についてどの程度ご存知でしょうか?
「現金のいらない決済のことでは・・・」と漠然としたイメージはあっても、キャッシュレス決済にどのようなものがあり、またどのようなメリットがあるのか把握しきれていない人も多いでしょう。
そこで今回は、新聞やテレビで見聞きする機会の増えたキャッシュレス決済について、その種類からメリット・デメリットにいたるまでを詳しくご紹介します。

キャッシュレス決済の基礎知識

まずは、「そもそもキャッシュレス決済とは何か」という点についてご説明します。
キャッシュレス決済とは、その名の通り現金(キャッシュ)を使わない決済のことです。クレジットカードを使った決済も、キャッシュレス決済の一例です。

日本におけるキャッシュレス化は、かなり遅れているのが現実です。経済産業省の「平成29年度産業経済研究委託事業(我が国におけるFinTech普及に向けた環境整備に関する調査検討)調査報告書」によれば、2016年における日本のキャッシュレス決済比率は19.8%にとどまっています。最も比率の高い韓国が96.4%であり、ほかキャッシュレス決済が普及している諸外国もおおよそ40~50%の水準の比率であることを踏まえると、日本では「現金決済主義」が未だ根強いことがわかります。

実際、この記事を読んでいる方の中にも「(日常生活での)支払いのほとんどは現金で済ませている」という人は多いのではないでしょうか。
日本でキャッシュレス決済が進まないのは、偽札が少なく、銀行やATMが普及しいつでも現金が引き出せる点や、現金を持ち歩くリスクも少ないからだと言われています。また、専用端末を店舗側が導入する場合、コスト面でハードルが高いという理由も。しかし、現金決済には、国による「貨幣製造」や「偽札流通への対策」などをはじめとした、消費者側には見えない様々な「コスト」だけでなく、店舗による「レジの現金残高確認作業」等の人件費が発生しているのです。

また、2020年に東京オリンピック、2025年に大阪・関西万博と、それぞれ国を挙げた国際イベントの開催を直近に控える日本には、多くの訪日外国人客が見込まれます。キャッシュレス決済が「当たり前」である国の人々が日本に来て、お店での支払いに「現金しか使えません」と言われたら多くの不便が生じるのは想像に難くありません。

キャッシュレス決済浸透への遅れを取り戻すため、日本政府は2025年までにキャッシュレス決済比率を40%にするという目標を掲げています。そのため、キャッシュレス決済について知識を深めることは、私たちがこれまで「当たり前」と思っていたお金の支払い方が、どのように変わっていくのかを把握するためにも、とても重要なことなのです。以下では、キャッシュレス決済を「接触型決済」「非接触型決済」「コード決済」の3つに分けてご説明します。

キャッシュレス決済方法1:接触型決済

プリペイドカードやクレジットカードを専用機器でスキャンし、決済するのが「接触型決済」です。

プリペイドカードの場合、あらかじめ購入(チャージ)した分の金額のみを利用する仕組みのため、無駄遣いの心配がないというメリットがあります。一方クレジットカードは、ほとんどのカードにおいて海外旅行傷害保険やショッピング保険などが付帯している、利用明細を見ると自分がどれだけお金を使ったのかを把握できる、といったようなメリットが特徴です。また、プリペイドカードとクレジットカードには、使用額に合わせて「ポイントがたまる」という特典があるのも大きな魅力と言えるでしょう。

ただし、プリペイドカードの場合、一度チャージしたお金は原則として戻って来ないので、チャージしたお金を「使いきれない」という事態が発生することもあります。逆に、クレジットカードの場合は使い過ぎのリスクがあるので注意が必要です。
もう一つの注意事項として、クレジットカードは稀に不正利用されることがあります。明細を見て身に覚えのない支払いがある場合、すぐにクレジットカード会社に連絡することで被害の拡大を防ぐことができますが、対応が遅れると被害が高額になる可能性もあるのでセキュリティには十分に気を配るようにしましょう。

キャッシュレス決済方法2:非接触型決済

「非接触型決済」は、お店にある決済端末に、ICカードやスマートフォンなどをかざすことで決済する方法です。
先ほどは「専用機器に読み込ませる」とご説明しましたが、クレジットカードにはiDやWAON、Suicaなどの電子マネーが組み込まれているものもあります。これらの種類のクレジットカードは、暗証番号の入力やサインなしで「かざす」だけで気軽に支払いをすることも可能です。
また、いわゆる「おサイフケータイ」としてスマートフォンを決済に利用することも可能です。スマートフォンで利用できる電子マネーには、楽天EdyやモバイルSuica、WAON、nanaco、iD、QUICPayなどがあります。使いたいサービスの登録が済んだら、スマートフォンを店舗の読み取り機にかざせば決済が完了します。おサイフケータイのメリットは「手軽さ」にあります。例えば、仕事中休憩がてらコンビニに買い物に行くときも、財布いらず。スマートフォンのみで完結できる点はメリットと言えるでしょう。
ただし、おサイフケータイは、スマートフォンのバッテリーがないときや、ソフトウェアのアップデート中は利用できません。また、機種変更時にデータ移行をする必要がある点にも注意が必要です。

キャッシュレス決済方法3:コード決済

コード決済とは、スマートフォンのカメラでお店のQRコードを読み取る、若しくはスマートフォンに表示されたQRコードやバーコードをお店で読み取ってもらい、特定アプリと連動した電子マネーで決済を行うというものです。主なサービスには、楽天ペイや、LINE Pay、d払い、PayPayなどがあります。

これらの決済は、各サービスが頻繁に割引サービスを展開しているという特徴があります。クーポンがアプリに配信されることもあるので、現金で買い物をするより「お得感」が得られるでしょう。また、コード決済をするとアプリに履歴が残るため、どのくらいお金を使ったのかをすぐに確認できます。

ただし、コード決済には利用できるお店が限られているという点や、スマートフォンによってはQRコードを読み取れない、QRコードやバーコードを表示してもお店側になかなか読み取ってもらえない、という場合もあります。また、アプリを起動すれば決済ができるという手軽さから、万が一スマートフォンを紛失した場合には悪用されるリスクもあるため、パスワードの設定を徹底するなど、クレジットカード同様にセキュリティー対策が必要です。

まとめ

ここまでご紹介したキャッシュレス決済の特徴についてまとめると、以下の通りです。

表を横にスライドすると続きがご覧いただけます。

決済方法 メリット デメリット
接触型決済 プリペイドカードやクレジットカードを
専用端末でスキャンする
  • ポイントがたまる等のサービスがある
  • 利用額を把握しやすい
  • プリペイドカードの場合、無駄遣いのリスクが少ない
  • クレジットカードの場合、お金を使い過ぎるリスクがある
  • 不正利用のリスクがある
  • プリペイドカードにチャージしたお金は戻って来ない
非接触型決済 カードやスマートフォンを
専用端末にかざす
  • 暗証番号の入力やサインの必要がない
  • おサイフケータイの場合、スマートフォンだけ持てば買い物できる
  • おサイフケータイの場合、バッテリーがないときや
    ソフトウェアアップデート中は使えない
  • おサイフケータイの場合、機種変更時にデータを移行する必要がある
コード決済 スマートフォンのカメラでQRコードを読み取る。
もしくは、スマートフォンに表示したQRコードや
バーコードを店舗側に読み取ってもらう
  • 割引サービスやクーポンが展開されていることが多い
  • 使用金額をアプリで確認できる
  • 使用できる店舗が限られている
  • スマートフォンの状況によってはQRコードの読み取りができない、
    スマートフォンに表示したQRコードやバーコードを読み込んでもらえない
    ことがある

どの方法にもメリット・デメリットがありますが、「支払いがスムーズである」という点ではいずれも共通しています。日本ではキャッシュレス決済はまだまだ浸透しておらず、店舗によってはいずれの決済方法にも対応していない、ということも数多くあります。
しかし、政府は消費税増税に合わせキャッシュレス決済へのポイント還元を計画しているほか、「キャッシュレス・消費者還元事業」として中小・小規模事業者へ向けた「端末本体・設置費用無料」や「決済手数料の優遇」など、消費者として以外にも事業者としてのメリットも打ち出し始めました。

これらのことからも、国を挙げてキャッシュレス決済の浸透に向けて本腰を入れ始めていることがわかり、対応店舗は今後増えていくことが予測されます。「現金を持ち歩かない時代」が、いよいよ現実のものとして近づいてきたのではないでしょうか。

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