2019年ITトレンド~注目の6つのキーワード~<前編>

2019年、8月も終わり、これまでにも様々な出来事・ニュースがありました。資格を取得したりセミナーに出席したりと、ビジネスに役立つ知識を深めるため、さまざまな努力をしている方もいらっしゃると思います。
ビジネスに関する知識を深める場合、「今どんなキーワードがトレンドになっているか」を知ることは非常に重要と言えます。多くの人が注目するキーワードを把握することで、それを自社でどう活用できるか、またそれによって働き方がどう変化していくか予測することができるからです。

ここでは、2019年のITトレンドで特に注目されているキーワードを前編・後編に分けてピックアップします。ビジネスアイデアのヒントや会話のネタなどにご活用ください。

キーワード1:5G

「5G」とは「第5世代モバイル通信システム」を意味し、最大20Gbpsの通信速度を実現する「超高速」、1km2(平方キロメートル)あたり100万個のノード(※)を接続しても通信できる「多数接続」、移動通信の遅延が0.001秒以下の「超低遅延」などがメリットとして挙げられています。通信大手4社が2019年に5Gのプレサービス開始計画を発表していることから、今、大きな注目を集めています。

5Gが注目されている背景には、「地方創生を重要視していること」が挙げられます。5Gの通信サービスを開始するためには、総務省から利用可能な電波(周波数帯)を割当てられる必要があり、通信大手4社には用意された10枠が割当てられました。それに際し、総務省は過疎地でも早期に5Gサービスが開始されるよう、日本全国を10km四方に分け、その半数以上に基地局を置く、という条件をつけました。

大容量のデータを高速で処理でき、また遅延も0.001秒以下という5Gの特性は、人手不足に悩む地方の課題を解決するものとして大いに期待されています。例えば、公共交通機関が少なく住民の「足」となる手段が少ない地方では、5Gを駆使した自動運転バスの運営が期待されています。また、生産ラインを自動制御する「スマート工場」の登場なども期待されていることのひとつです。5Gの登場は、これまで「人手がいない」という理由で存続を危ぶまれていた地方産業を支えるものでもあるのです。

また、5Gの「見せ場」は2020年の東京オリンピックである、という声もあります。というのも、国内外から多くの人が集まるオリンピックでは、スマートフォンによるデータ通信量が膨大になります。5Gの「超高速」「超低遅延」という特性を活かすことで、その膨大な通信量にかかる負荷が軽減されることを期待されているのです。

このように5Gには、地方創生や東京オリンピックでの活用が期待されており、大きな注目を集めています。我々の暮らしが5Gの活用によってどう変わるか把握しておくことは、5Gをビジネスで活用するために役立つでしょう。

ノードとは:ネットワークに繋がる「モノ」の総称。例えば携帯電話やスマートスピーカー、工場のセンサーだけでなく、ハブやルーターなどの機器といったネットワークの接点や分岐点を意味するもの。

キーワード2:エッジコンピューティング

「エッジコンピューティング」における「エッジ」とは、ルーターなどのいわゆる「ユーザー(現場)の近くにある機器・設備」のことを指します。これらの機器を使って、本来サーバーで行われていた通信データ処理の一部を、代わりにエッジによって行われる技術が、エッジコンピューティングと呼ばれます。この技術によって超低遅延の通信が可能となるだけでなく、データ処理が現場の近くで行われることから、セキュリティーの高さや伝送コストを減らすといった利点が注目されています。

IoTの登場によりさまざまなモノ(デバイス)がインターネットにつながることで、膨大なデータを取得できるようになりました。それらの各デバイスから、クラウド上のサーバーに直接接続してデータ転送するという方法が、現在の主流(クラウドコンピューティング)です。しかし、この処理方法ではデータの処理量が増えれば増えるほどデータ転送の往復に時間がかかってしまい、前項で挙げた「5G」の超高速・低遅延という技術を実現することが困難となってしまうのです。
そこで、各デバイスとクラウドの間にエッジを挟ませるという、エッジコンピューティングの考え方が生まれました。すべてのデータをクラウドで処理するのではなく、エッジ上で部分的に処理を行うことで、サーバーへの負担とネットワーク負荷が軽減されるため、よりリアルタイムなデータ接続・データ処理が可能となります。

特に、地方創生で期待されている「自動運転」でデータ遅延が発生すると、重大な事故につながりかねません。自動運転している車両は、他の車両だけでなく、歩行者や周りの状況などを常に把握し、それに対応する必要があります。迅速な判断が必要な自動運転には、エッジコンピューティングは不可欠の技術と言えるでしょう。2019年に5Gのプレサービス開始を予定している通信大手4社も、エッジコンピューティングの活用を検討しています。

他にもエッジコンピューティングは、特例エリアでの超低遅延、高速通信サービスも期待されています。例えば、スタジアムで試合映像や選手情報などをスタジアムにいる大勢の観客にリアルタイム配信するには、一度クラウドにデータを送信するよりもエッジで処理することで、低遅延なデータ配信を実現できると考えられているのです。また、スタジアムに行けなかった人もスタジアム周辺にいれば、エッジからのデータ配信を受け取ることで臨場感のある試合映像を体感できるようになるでしょう。

膨大なデータ通信量に超高速、低遅延で対応する5Gサービスを実現するためには、エッジコンピューティングが大きな役割を担うと考えられています。そのため、次世代における通信の在り方として、エッジコンピューティングは大きな注目を集めているのです。

キーワード3:HRテック

人事担当者にとっての業務効率化とは、採用や育成、評価、配置といった各種人事業務の効率化のことを主に指します。「HRテック」とは、クラウドやAI、ビッグデータなどを用い、これら人事事務を円滑にこなすためのサービスです。

HRテックが昨今注目されている理由には、各企業でクラウドを用いたサービス基盤が築かれてきたことが大きいとされています。以前は、クラウドを利用するにあたり「セキュリティーが心配……」という声も聞かれました。しかし、クラウドにおけるセキュリティー課題は大幅に改善され、業務効率化に向けてクラウドを積極的に導入しようという流れが着実に築かれているのです。
また、働き方改革が施行されたことも、HRテックが注目されている理由のひとつです。多様な働き方が推奨される一方で、人事の仕事はより複雑化しつつあります。そのような状況変化の中で、それらの業務をスムーズに行うことができるサービスへの需要も高まっています。

HRテックはアルバイト採用の応募受付や日程調整も一元管理し、応募者の問い合わせ対応、面接日時の調整までをチャットにより自動化する、といったことも可能となります。HRテックは、人事担当者の負担を大幅に減らすための存在として、現在注目を集めているのです。

まとめ

今回ご紹介した3つのキーワード、「5G」、「エッジコンピューティング」、「HRテック」は、ITトレンドを語るうえで無視できないものです。これらのキーワードが注目を集めている理由には、「技術の発展」という側面からだけではなく、東京オリンピックなどの一大プロジェクトに関連があることも挙げられます。そのため、ITトレンドをチェックしビジネスに関する知識を深めるためには、IT分野だけでなくニュース全体にアンテナを張ることが重要と言えるでしょう。
常日頃からアンテナを張るのが難しい・・・という方は、今回のような「トレンドのまとめ記事」をぜひ活用してください。
後編では、残る3つのキーワードについてご紹介します。

残る3つのキーワードについて知りたい方はこちらから

2019年ITトレンド~注目の6つのキーワード~<後編> を読む

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