2019年ITトレンド~注目の6つのキーワード~<後編>

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IT用語解説、2019年トレンド、IT技術

2019年09月18日

2019年のITトレンド前編では、「5G」「エッジコンピューティング」「HRテック」の3つのキーワードについて取り上げました。
今回の後編では、残り3つのキーワードについてご紹介します。ITに関連する現在の環境、及び今後を見据えるためにも是非ご一読ください。

キーワード4:AI導入の本格化・実用化

AI(人工知能)は今や、我々の生活において身近なものになりつつあります。人と会話する感覚で最適な答えをユーザーに教えてくれるAIスピーカーなど、AIを駆使したテクノロジーは、誰しも一度は使った経験があるのではないでしょうか。
そんなAIが、昨今では「無人店舗」という形でも活用されています。アメリカでは既に、店舗に設置されているカメラやセンサーの情報を通じて来店客を特定し、どの客がどの商品を選んだのかを追跡するという「レジなし店舗」がオープンしています。入店時、スマホにQRコードを表示し、それを入り口のゲートにかざします。あとは店舗内でショッピングバッグに商品を入れて、出店時に再度ゲートを通ると、決済が終了するというシステムです。

こうしたAI導入の本格化を受け、日本でもさまざまな「無人店舗」が登場しています。東京都内のある駅では、ホーム上に無人店舗が設置されました。そこではまず、店舗の入り口で交通系ICカードをかざし、棚から商品を取っていきます。商品を選び終わった後、出口のディスプレイに手に取った商品名と合計金額が表示されるので、あとはICカードをかざして決済は終了です。客がどの商品を棚から取り出したかは、店内に設置された約100台のカメラが認識します。カメラは客の顔も認識しているので、客が商品をカバンに入れるなどしたら、万引きとして検知することも可能です。AIを利用した無人店舗は、買い物の時短化はもちろん、万引き防止にも役立っているのです。

また、福岡県のあるスーパーでは、夜間のみ無人営業を導入しています。顧客は入り口でスマートフォン用の専用アプリに表示されるQRコードか、同店のプリペイドカードをかざして入店。セルフレジで商品のバーコードを読み取り会計を行います。売り場では、全ての商品に電子タグが取り付けられおり、AI機能を搭載した約200台のカメラが商品の在庫状況を把握しているため、これまで人が行っていた商品管理や発注の手間を削減することができました。

人を認識する精度やセキュリティーの強化など課題はまだ残っていますが、ここまでに挙げた国内における「無人営業」の事例をはじめ、AI利用が遅れていると言われている小売業界においても、自動化への動きが見られるようになりつつあります。

キーワード5:自律的なモノ

昨今では、ロボットやドローン、自動運転車といった「自律的なモノ」がAIを利用することで、これまで人間が行ってきた機能を自動化することが予想されています。例えば、「自動運転車にドローンを積み、配達地先まで荷物を届ける」といったことが挙げられます。
これまでドローンにはバッテリーの制約により長時間の飛行ができないという課題がありました。しかし、電源供給が可能な自動運転車にドローンを搭載することで、その課題をクリアできるようになりました。つまり、自動運転車がドローンのバッテリーが持続可能な目的地近くまで移動し、そこからドローンを飛ばして荷物を届ける、といった取組が行われるようになったのです。この場合、「荷物を運ぶ」という機能が、自動運転車とドローンによって自動化されていると言えます。

ある日本の大学では、ドローンを飛ばして荷物を運ぶ実証実験が既に行われています。この実験では、ドローン(荷物搭載済み)を乗せた配送ロボットがスタート地点まで移動した後、ドローンを操縦者が目視できない場所に自動的に着地させる、「目視外飛行」という試みが行われました。
本来、ドローンを操縦する際には、操縦者が機体とその周辺を見て状況を把握できる「目視」の状態で飛行させなければなりません。ドローンから送られる映像を元に操縦し、目視できない場所まで飛ばすことも可能ですが、操縦者自身の技術力が問われるだけでなく、規制の対象となっています。それ以上に問題となってくるのは、我々が生活している広い範囲には様々な電波(WiFiなどの無線LANや携帯電話)が飛び交っているため、そうした場所でドローンを飛行させるとノイズの影響を受け、安全に離着陸できないのではないか、という問題でした。
今回の実験では、周辺に住宅地が広がるキャンパス内で行われましたが、電波の干渉を受けることなくドローンを目視外で飛行させることができました。

ドローンと自動運転車といった「自律的なモノ」による荷物の運搬が可能になれば、運送業における配達の効率化や人件費削減に大きく役立つでしょう。また、スムーズに運べるようになるのは「荷物」だけではありません。AEDなど人命救助に役立つものを運ぶことで、迅速な救護活動も可能になるのです。このように、「自律的なモノ」の活用は、私たちの生活を向上させる可能性を秘めていると言えます。

キーワード6:インターネット無害化

昨今では、ランサムウェアや標的型攻撃の被害が拡大しており、メール経由だけでなくWeb経由でインターネット環境が攻撃される場合もあります。書き換えられてしまった不正広告を経由してマルウェアサイトに転送させる「マルバタイジング」や、Webサイトを改ざんし、サイトに訪れるだけでマルウェアに感染させる「水飲み場型攻撃」などは、Webを経由した攻撃の一部です。こうした攻撃は「攻撃されたことに気づきにくい」という特徴があります。さらに、ウイルス対策ソフトを導入していても、マルウェアの検知率は低下の一途をたどっており、新種のマルウェアを検知できる割合はわずか30%とも言われています。そのため、マルウェアの存在は企業にとっては大きな脅威となっているのです。

こうした状況の中、「インターネット分離」という方法がセキュリティー対策として登場しました。ほとんどのマルウェアはWebサイトを閲覧したりメールを受信したりすることで感染します。そのため、業務利用のシステムをインターネットから切り離すことで、マルウェア感染する経路を物理的に断ってしまうことを目指しているのです。
実際にインターネット分離を行うには、Webサイトの閲覧やメールの送受信などには業務で使用する端末以外の端末を使用するといった、物理的に切り離す方法があります。しかしこの方法を採用すると、インターネット接続端末を利用者分だけ用意する必要がありコストがかかるうえ、ソフトウェアの導入、パッチ適用、バージョンアップ、設置スペースの確保など、管理そのものの負担も増えるというデメリットがあります。また、これまで1台で完結できた作業に2台のパソコンが必要になることで、業務効率も低下してしまうのです。

このような背景から、インターネットの分離を実現しやすいソリューションとして「インターネットの無害化」が注目を集めています。これは、インターネット環境を全面的に無害化するというもので、以下のような効果があると言われています。

「インターネットの無害化」による効果例

  • クラウド上のクラウドサーバーが代理でインターネットに接続。安全なコンテンツに変換し、描画情報だけをパソコンで表示するなどして、Web接続を分離・無害化する
  • ファイル内の脅威(マクロなど)を含む可能性のある領域を削除。最小限のコンテンツでファイルを再構成し、ダウンロードファイルなどを無害化する。
  • メールに添付されたファイルやHTMLメールを画像に変換。メール内のURLリンクも解除し、メールを無害化する。

インターネットを無害化すると、「ウイルスに感染したメールを開いてしまった」「安全ではないWebサイトを閲覧してしまった」など、人為的なミスによる感染が防げるので、インターネット環境を安心して利用できます。

Webの脅威は日々大きくなっています。その増大する脅威に対抗し、情報漏えいを防ぎながら企業のブランドイメージを保つためには、インターネットの無害化対策が急務と言えるでしょう。

まとめ

AIの導入が本格化したことによる「無人店舗」の増加や、「自律的なモノ」の活用による物流機能の自動化、マルウェアなどのWebの脅威に対抗する「インターネットの無害化」は、私たちの生活や社会に「便利さ」だけでなく「快適さ」や「安心」をもたらしてくれるでしょう。前編でご紹介した「5G」、「エッジコンピューティング」、「HRテック」も含め、今後より多くの業界にこれらの言葉が広まっていくことが予想されます。ですが、いざ自分がその技術を活用する時になって初めて言葉の意味を知るのと、あらかじめ知っておくのとでは大きな違いがあります。
ビジネスシーンにおいてさらなるステップアップを目指したいという方は、こうしたITトレンドキーワードに着目し、情報を得ることを常に心がけてみましょう。そして、どうビジネスへ活かせるのかを、考えてはいかがでしょうか。

前編でご紹介した2019年ITトレンド注目のキーワード3つについて知りたい方はこちらから

2019年ITトレンド~注目の6つのキーワード~<前編> を読む

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