IT資産管理の重要性について~資産の種類、管理項目と効果とは?~

公開:2020年03月05日

更新:2022年03月23日

近年、IT資産管理の徹底に取り組む企業が増えています。IT資産管理は、ITシステム活用が進む現代において、企業にとって重要な課題です。管理すべきIT資産の種類や管理方法を正しく理解することで、効率的なIT資産管理が行えます。

今回は、「IT資産管理の必要性と期待される効果」「IT資産管理の方法と管理項目」などについて解説します。IT資産の最適化やセキュリティー面・内部統制の強化に向けて、ぜひ参考にしてください。

【目次】

  • IT資産管理とは?
  • IT資産管理のおすすめソリューション
  • IT資産管理による4つの効果
  • IT資産管理の方法と管理項目
  • IT資産管理のまとめ

IT資産管理とは?

「IT資産管理」とは、会社内にあるパソコンやサーバー、ソフトウエア等、企業が保有しているIT資産を正確に把握し、管理することを指します。多くの企業では業務に必要な設備やオフィス等の不動産といった固定資産を保有し管理されていると思いますが、そのIT資産版と考えて良いでしょう。

IT資産管理を行うことで、例えば新たにパソコンが必要になっても眠っているパソコンがあることが分かれば、安易に購入する必要もなくIT資産の有効活用を図ることができます。また、未使用のパソコンを放置されたままにせず適切に処分することで、ソフトウエアライセンス費用を削減できます。

さらに、オペレーティングシステム(OS)やインストールされているソフトウエアのバージョン管理を行うことで、アップデートされていない脆弱性のある状態のパソコンを把握し適切に対応することができます。

このように、情報セキュリティー対策の観点からも、IT資産管理の必要性は高まっているのです。まずはIT資産管理を効率的に行うために、どんな資産が管理の対象になるのかを見ていきましょう。

ハードウエア

パソコンやサーバー、USBメモリー、スマートフォン、モデムといった周辺機器やネットワーク機器など、物理的に目に見えるIT機器を指します。

次にご紹介するソフトウエアやライセンスを使うためには、このハードウエアがないことには始まりません。つまり、誰がどんなIT資産を使用しているのかを把握するためにも、ハードウエアはもっとも基本的な管理対象と言えます。

ソフトウエア

ソフトウエアは大きく分けて「アプリケーションソフトウエア」と、「システムソフトウエア」の2種類があります。アプリケーションソフトウエアには、表計算ソフトや文書作成ソフトといったアプリケーションの他に、人事給与・生産管理・販売管理などの機能をシステム化した「基幹システム」などがあります。

その中でも、店舗で販売されている既製品は「パッケージソフトウエア」とも呼ばれます。一方、システムソフトウエアは、ハードウエア管理や制御などを行うためのソフトウエアです。OSやプリンターのデバイスドライバーなどが有名です。

ライセンス

ライセンスは、ソフトウエアの「使用権」を意味します。ライセンス契約の内容によっては、インストールできるパソコン台数が定められている場合があります。そのため、確認をせずにソフトウエアをインストールすると、ライセンス契約違反になってしまうことがあるため注意が必要です。

市販のパッケージソフトウエアの場合は、使用権を証明するためにインストールメディアが入っていた箱等が揃っていることが求められることがあるため、部材の管理も必要となります。また、どのライセンス契約で購入したソフトウエアを、どのパソコンにインストールしているのかも把握する必要があるため、ハードウエアやソフトウエアと関連性を持たせて管理しなければなりません。

クラウド型のIT資産管理

クラウド型のIT資産管理とは、場所を選ばずに活用できるIT資産の管理方法を意味します。

テレワークの導入など働き方が多様化する現代において、デバイスの一元管理や安心・安全なデータの共有は必須です。そのため、場所を選ばずに活用できるクラウド型のIT資産に注目が集まっています。

クラウド型のIT資産管理のメリットは、下記の通りです。

  • OSやソフトウエアをリモートで一元管理できる
  • PC操作ログやメール送信の取得および監視ができる
  • サーバーの運用保守が不要

オンプレミス型のIT資産管理では、テレワークへの対応に限界があります。例えば、社内LANに接続されていなPCの管理ができないといった課題があります。
クラウド型IT資産管理は、上述したメリットをはじめとして、このようなオンプレミス型では対応が難しい部分もしっかりサポートできることが特徴です。

また、管理業務が効率化されれば、担当者の負担集中を防ぐことが可能となるだけでなく、属人化を防げるといったメリットもあります。

IT資産管理のおすすめソリューション

IT資産を適切に管理することは、事業活動・企業経営を支えることにもつながる重要な業務です。しかし、社内にあるあらゆるIT資産を管理する側の負荷軽減も、運用する上でとても重要でしょう。

当社がご提案する「ITインフラソリューション」では、IT資産管理サービスの導入だけでなく、運用のご支援も行っております。効率的かつ安全に管理できる仕組みづくりについて、お気軽に弊社担当者までご相談ください。

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IT資産管理による4つの効果

「IT資産管理」と一口で言っても、管理すべき対象を洗い出して終わりではありません。OSやソフトウエアのアップデート状況や契約内容、リース状況、使用者情報なども管理する必要があります。

そのため管理業務の負荷が高く、IT資産管理が思うように進んでいないという企業も多いのではないでしょうか。取り組んではみたものの正しく管理・運用できなかった結果、IT資産に「ムダ」が発生することがあります。

このような事態が発生しないためにも、IT資産管理を行うことでどのような効果が得られるかをあらかじめ確認しておきましょう。

(1)IT資産運用に関するコストの最適化

IT資産管理における効果のひとつは、「ムダな投資の必要がなくなる」ことです。不要なネットワーク機器が社内に存在している、誰も使用していないパソコンがそのまま設置されている、といった「ムダ」を防げます。

また、不要な機器を撤去することで、スペースの確保や消費電力を減らすことにもつながります。IT資産管理は、IT資産運用に関するコストを最適化できるのです。

(2)IT投資の見える化

Windows7の延長サポート終了(2020年1月14日)などのように、これまで使用していたOSを買い換えなければならない状況は今後も起こるでしょう。また、OSのバージョン次第では、使えなくなってしまうソフトウエアもあり、システムの乗り換えを検討するという問題も出てきます。

買い替えや乗り換えには、決して少なくはない費用がかかりますが、その時期と費用が分からなければ経営戦略も立てられません。つまり、IT資産管理を行い、いつ・どのくらいのIT投資が必要なのかを事前に把握することが、企業経営の貢献にもつながります。

(3)情報漏洩・セキュリティー面の強化

ウイルス対策ソフトウエアの導入やファイアウォールの導入など、会社全体としてセキュリティー対策を行っていても、IT資産管理を徹底していないとセキュリティーリスクの発生が危惧されます。

例えば、Windows Updateが実行されていない状態のパソコンを使用する、ウイルス対策ソフトウエアのバージョンが古い状態のままパソコンを使用する等です。保有するIT資産を管理し、ソフトウエアの使用状況やバージョンアップ状況を把握することが、企業全体のセキュリティーリスクを最小限に抑えることにつながります。

(4)コンプライアンスおよび内部統制の強化

ソフトウエアメーカーは、各製品においてライセンス規約を策定した上で、利用企業の監査を行っています。もしライセンスの規約違反とみなされた場合、コンプライアンス違反によるイメージダウンや賠償金の発生など、様々なリスクが生じます。たとえコンプライアンス違反だと知らなかった場合でも、ソフトウエア会社から利用状況調査が入りペナルティを科せられる場合があります。

利用するITデバイスが多い会社ほどリスクが高まるため、コンプライアンス対策や内部統制への取り組みが重要です。

IT資産管理を行うことで、ソフトウエアの状況把握がスムーズになり、不正インストールの防止にもつながります。クラウド型IT資産管理は、リアルタイムでソフトウエアを監視して不正インストールを発見できるため、常に安心・安全に利用できる状況を保つことが可能です。

IT資産管理の方法と管理項目

IT資産管理では、前述したようにハードウエア・ソフトウエア・ライセンスの3つを管理する必要があります。それぞれの項目を管理する主な方法は、下記の2つです。

  • 管理台帳を作成し手作業で確認する
  • 資産管理専用のソフトウエアを利用する

ソフトウエアは1台のパソコンに複数インストールされていることが多く、さらにバージョンアップ、アンインストールといった作業も発生します。そのため手作業でIT資産をすべて管理するとなると、随時台帳の更新作業が発生することになり多くの手間と時間がかかります。一方、資産管理専用のソフトウエアを導入すれば、バージョンやライセンス情報を一元管理できます。

ここからは、IT資産の主な管理項目について解説します。

ハードウエア台帳

ハードウエアの管理では、PCやタブレットはもちろん、サーバーやUSBフラッシュメモリなども管理対象です。ハードウエア台帳には、ハードウエアに関する情報を登録します。ハードウエア台帳の主な管理項目は、下記の通りです。

  • コンピューター名
  • 資産区分
  • 機器情報(機器種別/ベンダー名/シリアルNo./スペックなど)
  • 使用者情報
  • 設置場所
  • 購入日など

棚卸の時などに資産情報の確認をスムーズに行えるよう、ハードウエア自体に管理番号や購入日時を記入したシールを貼り付けておくと便利です。

ソフトウエア台帳

ソフトウエア台帳には、ハードウエアに導入されているソフトに関する情報を登録します。複数のソフトを使用する場合が多いため、管理漏れがないように注意しましょう。ソフトウエア台帳の主な管理項目は、下記の通りです。

  • ソフトウエア名
  • ベンダー名
  • バージョン
  • 導入元および導入日
  • ライセンス情報(番号、形態、使用許諾条件)など

ソフトウエアの管理は、目に見えない情報が中心です。

ライセンス台帳

ライセンス台帳は、外部から購入したソフトウエアのライセンス情報を管理する台帳です。ライセンス台帳の主な管理項目は、下記の通りです。

  • ベンダー名
  • ソフトウエア名
  • エディション
  • バージョン
  • 購入日および購入元
  • ライセンス情報(種別、形態、使用許諾証明、証書番号)
  • 利用状況(保有数、割当数、残数)
  • 管理部門
  • 保管場所など

ライセンスの管理は、コンプライアンス面に大きな影響を及ぼします。違約金や賠償金の発生を避けるためにも、不備がないようにしっかり管理しましょう。

ライセンス関連部材台帳

ライセンス関連部材には、導入用のDVDやパッケージに関する情報などが挙げられます。ライセンス関連部材台帳の主な管理項目は、下記の通りです。

  • パッケージソフトウエアを導入した際の箱や書類
  • CDキー
  • 管理部門
  • 保管場所など

ライセンスの管理では、関連部材もあわせて適切に管理しましょう。

IT資産管理のまとめ

ここまでIT資産管理の必要性と期待される効果、管理方法や項目などについて解説してきました。改めて、今回のポイントをまとめます。

<このコラムのPOINT>

  • 近年ではクラウド型のIT資産管理も注目されている
  • IT資産管理はコストの最適化やセキュリティー面・コンプライアンスの強化に効果的
  • IT資産管理は管理体制や運用手順を見直しながら継続して行うことが重要

ハードウエア・ソフトウエア・ライセンスなどのIT資産を管理することで、IT資産運用に関するコストを削減できるだけでなく、セキュリティー対策効果も期待できます。重要なことは、一度情報を取りまとめて終わりとせず、定期的に情報を更新して管理を継続することです。そのためには、管理体制や運用手順についても充分な検討を行い、実施するようにしましょう。

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