ITのチカラで変える、日本の宅配サービス

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宅配サービス

2017年09月19日

ネット通販が急速な勢いで普及していくにつれて、深刻な人手不足に直面している日本の物流現場。さらにその負担を大きくする原因として「再配達」が、ここ最近メディアでも大きく取り上げられています。

人手不足・再配達問題を解決し、世界トップクラスの宅配サービスを維持するために活用される、ITのチカラに注目しましょう。

世界トップクラスの宅配サービス

ネットショッピングで購入したものが、指定した時間帯にピッタリと届く。当日家にいないと、無料で再配達してくれる。日本にいると当たり前のように感じる宅配サービスですが、世界中を見てもこれほど高品質な宅配サービスを提供している国は、ほとんどありません。

例えば、世界最大手の物流業者を輩出しているアメリカですが、時間指定にする場合、追加料金がかかります。大手の宅配サービスでは、日付指定はできても、そもそも時間指定自体のサービスがない場合もあります。

このように他の国と比較してみると、日本の宅配サービスがいかに優れているか分かります。しかし、最近では高品質ゆえに深刻な問題も生じています。

深刻な再配達問題

宅配サービスが配達した荷物のうち、約2割が不在で再配達になると言われています。年間の宅配便取扱数は約40億個。この2割と考えると、膨大な数の荷物が受け取られずに再配達になっていることが分かります。

ネットショッピングの普及で宅配便取扱数は年々増加傾向にあり、さらに再配達とドライバー不足の問題が重なることで、日本の宅配サービスの高水準が維持できなくなっています。こうした状況を打破するべく、荷物のコンビニ受取りや宅配ボックスの設置などの対策が取られているほか、再配達の有料化も検討されています。また根本的な解決のため、ITのチカラにも期待がかかります。

AI(人工知能)で激減する再配達

実際にサービスとして開始されているのが、チャットボット型AI。これまでも配達日時を事前に変更するためのサービスはありました。ただし、電話機のダイヤルを何度もプッシュしなければならないなど、手間がかかり利用者の数があまり伸びていないのが現状でした。

チャットボット型AIを利用すると、まず荷物を配達する前に、AIが電話で在宅確認を行います。荷物を受け取れない場合は、電話でAIに向かって、「これから出かけるので明日17時に届けてください」と普通の会話のように伝えるだけで、配達日時が変更できます。

また、LINEを利用したサービスでは、宅配業者と友達登録をしておくと、再配達の連絡や配達日時の変更を、LINEのトーク画面上で会話をするような感覚でスムーズに行うことができます。

またAIを使ったナビゲーションシステム開発の取り組みもあります。現状は配送ドライバーが、大量の荷物を確認して、配送ルートを決めています。しかし、これではドライバーの経験や技能により、配送スピードに差が出てしまいます。そこでAIが荷物の量・交通状態・指定時刻などを計算して、最適なルートを導き出すシステムが開発されています。この方法であれば、配達スピードが向上するだけでなく、受け取り側のスマートフォンなどに、より正確な配達時間を伝えられるようになると期待されています。

自動運転で変わる荷物の受け取り方

各自動車メーカーによる開発が進む自動運転機能には、物流業界からも大きな期待がかかります。実際に2017年4月より神奈川県藤沢市の国家戦略特区で、宅配サービスの実用実験がスタートしています。

実験では、車内に保管ボックスを設置した電気自動車が使用され、利用者は自宅以外にも、駅や会社、公園など、対象エリア内であれば、自由に受取り場所を指定でき、配送時間も10分刻みで選択可能です。荷物の到着前にはスマートフォンに通知が届きます。車が到着したら、利用者はあらかじめスマートフォンに送られてきた2次元コードで保管ボックスを開けて荷物を取り出します。

今回の実用実験は、有人運転で実施されていますが、荷物の受取りはセルフサービスで、ドライバーは関与しません。また2018年度から一部地域にて自動運転も導入予定です。最終的には無人の電気自動車による配達を目指します。

まとめ

人手不足や膨大な数の再配達といった問題が表面化する日本の宅配サービス。問題解決のため、チャットボットや無人運転だけでなく、宅配サービスの利用者にとっても、提供者にとっても有益となるサービスが、これからも登場してくれることを期待したいものです。

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