ガラパゴス化が進む日本の自動販売機の未来

多機能な携帯電話や小型の軽自動車など、日本にはガラパゴス化(※)した製品が多く存在します。今回のテーマである「自動販売機」も、実はその中の一つ。外国からも自動販売機を撮影・利用するのを楽しみに日本を訪れる人がいるほどです。

市場拡大のために最新技術を活用して、さらに独自の進化を続ける日本の自動販売機に注目します。

※日本市場に合わせて独自の「最適化」が進むこと

日本はなぜこんなに自販機が多い?

日常生活で当たり前のように見かける自動販売機。設置台数を見ると、約650万台のアメリカに次いで約494万台と世界第2位、人口比率では世界一とみられています。

ここまで自動販売機が普及してきたのには、日本ならではの理由があります。まず治安が良いため、公園や道路など屋外に設置されていても窃盗被害が少ない点(海外では窃盗予防のため、主に屋内施設に設置)。また都市部では人口密度が高く、採算が見込める設置場所が多いこと。そして飲料メーカーが無償で自動販売機の貸し出しを行う仕組みを採用したため、小売店や個人による自動販売機の設置が一気に増加したことも理由のひとつに挙げられます。

ただし、国内での自動販売機の設置台数はすでに飽和状態と言われています。実際、2000年の約560万台をピークに年々漸減傾向にあります。その中で自動販売機の市場拡大のため、そして存在価値を高めるために日本独自の進化を遂げています。

飽和状態の中で続く自動販売機の進化

飽和状態の中で各自動販売機メーカーは様々な新たなサービスを提供しています。

・おしゃべり自販機
飲み物を購入すると挨拶はもちろん、季節や時間帯に応じたメッセージで利用者とおしゃべりしているようなコミュニケーションが可能な自動販売機。日本全国の16方言に加えて、英語・ポルトガル語・中国語のメッセージが搭載されている自動販売機もあり、外国人観光客にも人気があります。

・一緒に遊べる自販機
自動販売機の正面に大型のディスプレイとカメラが内蔵された自動販売機。商品を購入すると、内蔵カメラで写真を撮ることができるほか、ディスプレイに映った自分と人気アーティスト映像が合成され、一緒にダンスを踊る感覚が味わえます。撮った写真やダンス動画はスマートフォンで見ることもできます。さらに、ダンスの結果はランキングとしてWebで発表されます。
・健康応援ポイントサービス付き自販機
オフィス内に設置された専用自動販売機とアプリを連動して利用者の健康習慣を促すだけでなく、企業の健康経営をサポートする自動販売機。利用者は専用アプリをダウンロードすると、歩数計機能で歩いた歩数に応じてポイントが貯まります。商品の購入でもポイントが貯まり、貯まったポイントはトクホ飲料と交換できます。

また、災害時に無料で商品を提供、携帯電話などの充電機能や災害情報の表示機能を備えた災害対応自動販売機や、冷却庫内の冷却時に発生する熱を加温庫内の飲料を加熱するために利用するヒートポンプ方式、外気の熱まで利用するハイブリッドヒートポンプ方式の自動販売機など、最先端の技術を活用した自動販売機が次々と登場しています。

世界へ進出する日本の自動販売機

日本の自動販売機の進化は、近年世界でも注目されています。2016年の財務省の統計では、飲料用の自動販売機は2016年には21カ国に輸出されていて、輸出総額も年々増加しています。現に自動販売機の設置台数が急増している中国で7割のシェアを誇るのは、日本の企業です。各メーカーがこれまで培ったノウハウを活かして海外展開を進めています。

まとめ

日本のガラパゴス化した自動販売機は、他の国の製品にない最先端の技術を活かした高い品質で、「世界」の主流になっていくことが期待されます。

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