ICTで変わる建設現場

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ICT

2017年12月04日

少子高齢化が進む日本で、深刻な問題として取り上げられているのが、建設現場の「人手不足」。労働人口が減り続ける今、解決策の一つとして注目を集めているICT(アイシーティー)で建設現場はどのように変わるのでしょうか。

高齢化が進む建設現場

世界に誇る日本の高い建築技術。その根底を支えている職人たちにも、少子高齢化の波が押し寄せています。国土交通省の調べによると、平成9年には685万人いた建設業就業者が平成27年には500万人に減少。そして500万人のうち、約34%は55歳以上で、10年後には大半が引退する見込みです。また経験豊富な職人達が引退することで、日本の高い建築技術が失われてしまう危険性も指摘されています。

建設業界の市場規模は国土交通省の平成28年のデータによると、公共・民間を合わせて年間51兆円を超え、日本経済に与える影響も非常に大きいです。そのため、高い技術を保ち、若い担い手を確保することが重要な課題となっています。そこで“カギ”を握るのがICTです。

ICTで何が変わるのか?

ICTとは「Information and Communication Technology」の略語で、日本語では「情報伝達技術」や「情報通信技術」と呼ばれます。ITとほぼ同義語ですが、「Communication」が加わることで、より情報・知識の共有に焦点が当てられています。

建設現場でのICTは「建設ICT」と呼ばれます。建設ICTではGPSや無線LAN、インターネットなどといった情報技術を導入して、各工程で得られる電子情報を現場全体で共有・活用することで、生産性の向上や品質の確保を図ります。調査から設計、施工、維持管理などの各工程を一連の建設生産システムとして捉えて連携させることで、高効率・高精度な作業が実現できます。実際の工事現場でも、建設ICTを導入して自動制御化された重機などが活用されています。

実際にICTが取り入れられている活用例

2016年6月から始まっている北海道自動車道「阿寒IC―釧路西IC」間の建設では、建設ICTが積極的に活用されています。測量にはドローンを活用して、30分間に800枚の上空写真を撮影。撮影した画像から3次元の設計図面を作成します。ドローンを利用することで、通常3人体制で約2週間かかる測量作業が、1人で、しかも1日で完了できます。作成された設計図面はネットワークで施工を行う重機に共有されます。これまで重機による施工には、操作するオペレーターとシャベルの近くで指示を出す補助員の2人が必要でしたが、共有された設計図面を元に、重機内のモニターにはミリ単位で掘る場所が表示されるので、オペレーター1人での施工が可能です。

大分県大分市のダム建設では、大手ゼネコンの開発した無人重機が利用されています。土砂を運ぶダンプ、平らにするブルドーザー、地面を固めるローラーにそれぞれ無人化技術が搭載されています。作業員が遠隔操作するのではなく、無人重機が自己位置をリアルタイムに認識して自動運転で施工を行うため、1人の作業員がタブレット端末からスタートボタンを押すだけで、複数の無人重機をコントロールできます。開発にあたって、熟練した重機オペレーターの膨大な操作データを収集・分析して制御プログラムを導入したため、自動運転でも高い作業精度での施工が可能です。

土木作業以外でも、大手建設会社では溶接作業や、建物内で資材の搬送、天井ボードの貼り付け、床材の施工などを行う、様々な建設ロボットの開発も進めています。このように建設ICTが進むと、より少ない人員で効率的な施工が可能になります。またベテラン作業員のノウハウを建設ICTによって制御プログラムに取り入れたりすることで、若手の作業員による施工でも高い品質を保てる仕組になっているのです。

まとめ

「人手不足」の解決策の一つとして注目されるICT。高度な情報技術を活用した未来の建設現場の姿です。そしてICT化によって効率化が進み、人手不足の解消だけでなく、嵩む建設コストの削減にも期待がかかります。

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