医薬品の新バーコード表示義務化、現在の取組状況や義務化のメリットとは?

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医療・調剤薬局、 業界動向、 新バーコード表示

2019年06月04日

厚生労働省が2016年8月発表した「医薬品の新バーコード表示義務化」。2021年度までに対応するよう求められた新バーコード表示とは、そもそもどのようなものであり、どのような活用を期待されているものなのでしょうか。現状の取組状況をご紹介するとともに、「薬局としてどう活かせるのか」という点について考えます。

新バーコード表示について

そもそも医療用医薬品にバーコードを表示する目的は、2つあると考えられています。
1つは、取り違えによる医療事故の防止です。
薬の取り違えによる誤薬事故は、命の危険にも繋がるため、日頃より安全対策や防止策の徹底を行い、ヒヤリ・ハット事例集などを作成されている薬局も多いかと思います。しかし人が行う以上、完璧に行うことは難しいとも言えます。そこで安全対策の1つとして、バーコードを活用し機械によるチェックを行うことが、有効な対策として考えられています。
目的のもう1つは、トレーサビリティーの向上です。薬が今どこにあるのかを把握するためには、工場から薬局、薬局から患者など、薬が動く際に都度記録をすることが必要です。この記録する基準がバラバラでは、万が一不純物が混入していた場合に迅速な追跡を行うことはできません。薬に表示されたバーコードを機械的に読み取り記録することで、製造・流通から患者への医療用医薬品の流れを一元管理することが可能と考えられています。

バーコード表示の対象となっている医療用医薬品は、「特定生物由来製品」「生物由来製品」「注射薬」「内用薬」「外用薬」の5つです。また、包装形態は「調剤包装単位」「販売包装単位」「元梱包装単位」の3つに分けられており、項目ごとに必須表示、任意表示が決められています。

出典:「医療用医薬品へのバーコード表示の実施要項の改正について」(厚生労働省)

新バーコード(※1)表示への切り替えを厚生労働省が通達したのが、2012年(平成24年)。その後、2017年(平成 29 年) 9 月末時点に実施した調査では、有効期限やロット番号、数量等の必須項目表示(表の※印なし二重丸)については、いずれの包装単位でも100%という結果でした(「【公表版】平成29年度医薬品情報化進捗状況調査」(厚生労働省)より)。

では今回、「国際的な標準化規格に基づくバーコードの表示を義務化することが適当である」というとりまとめが、2018年(平成30年)12月に厚生科学審議会 (医薬品医療機器制度部会)から発表された背景には何があるのでしょうか。
大まかには、以下の3点が考えられます。
(1)バーコードを活用したトレーサビリティー(※2)の向上により、患者さんの安全確保につなげたい。
(2)2021年度から「注射薬」「内用薬」「外用薬」の「販売包装単位」「元梱包装単位」における任意表示項目を必須とする対応が遅れている。
(3)バーコードを活用することで得られる「医療用医薬品使用に関するビックデータの活用」も、視野に検討されている。

これまでは行政指導に基づき、メーカーの自主的な取組として進められてきたバーコード表示ですが、義務化されることで、流通の円滑化や万一の際の製品回収、販売停止、情報共有がスムーズに行えるだけでなく、医療現場などでバーコードを利用した安全対策や作業効率化が推進していくのでは、との期待も高まっています。

  1. ※1新バーコードとは、GS1-Databar(調剤包装/販売包装単位)およびGS1-128(元梱包装単位)を指します
  2. ※2トレーサビリティーとは、医薬品・医療機器等の流通、使用などの記録を作成し、事後的な追跡ができることをいいます

現在のバーコード表示の取組状況

先程も少しご紹介した通り、2021年度からの必須項目への対応が一部で遅れている原因には、何があるのでしょうか。

あくまで一例ですが、新バーコード表示を採用すると、医療用医薬品の中身も添付文書も全く変更されていないにもかかわらず、「包装だけが変わる」といった事態が発生します。このことが、新バーコードの対応遅れに関係しているとも言われています。
その理由として挙げられているのが、医療用医薬品の包装だけが変わった場合、その医療用医薬品が“旧品”扱いという形になるからです。新しい包装の医療用医薬品が流通し始めると、医療機関からは「新しいほうをください」とお願いされることになりがちです。その結果、旧品の返品、ときには破棄につながり、成分や効能の変わらない貴重な医療用医薬品の“無駄遣い”が発生することになります。そのような背景も、新バーコード表示の対応が遅れている一因と考えられています。

メーカー側も対応に向け改善が進んでおり、新バーコード表示の定着率は年々高まりつつあります。さらに今後は、メーカー側からの包装変更の案内時期を早めに医療機関へ周知すると共に、医療機関でも過剰在庫を持たないようにするなどの対策が求められるのではないでしょうか。

薬局としてバーコードをどのように活かすか

医薬品のバーコード表示義務化を進める目的のなかには、薬局の働き方改革、薬剤業務効率化のきっかけにして欲しい、という狙いがあります。
既に薬局の中にはこの流れを受け、「対物業務はロボットに任せ、人は対面業務に集中する」というスタイルを取る薬局も出てきています。

実際にある薬局では、通常人の手によって行われている調剤棚への医薬品補充や、調剤時に医薬品を取り揃える業務をロボットに任せています。具体的には、以下のような作業をロボットが行います。

  • 処方箋情報を読み取ったロボットアームが棚に並んだ医薬品の箱を取りに行き払い出す
  • 薬剤の箱のバーコードを読み込んで所定の棚に戻す
  • 薬局に搬入された医薬品を棚に補充する
  • 払い出し頻度を考慮した上で医薬品の並び替えを行う

ほかにも、服薬指導を事前に済ませた患者さんに対しては、開局時間外でもバーコード認証で薬剤を払い出すこともできる仕組みもあるそうです。

まとめ

今後、薬局に求められる役割や在り方は、大きく変わることでしょう。薬剤師が対物業務に専念するためにもICTを活用する動きが活発となり、将来的には「システムやロボットにできることは、システムやロボットにやってもらおう」という考えが主流となる日も、遠くはないかもしれません。
薬局における働き方改革の手段の1つとして、バーコードの有効的な活用を検討されてみてはいかがでしょうか。

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