調剤薬局の再編時代がやって来る!?

調剤薬局業界は、平成9年に当時の厚生省が37のモデル国立病院に医薬完全分業を指示したことがきっかけとなって急速に成長しました。平成28年度に発行された処方せん枚数は約8億枚、調剤点数は約7億2千万点(金額換算で約72億円)となります。10年前の平成18年度ではそれぞれ約6億6千万枚、約4億5千万点(約45億円)となっており、中でも調剤点数(金額)が約1.5倍と大きく伸びたことが分かります。
しかし今後、このような成長は見込まれるのでしょうか。

調剤薬局、今後の見通しは?

急成長した調剤薬局業界ですが、今後はいかにして維持していくかへと変わっていくとみられます。

その要因の一つとして、市場の成熟化が挙げられます。医薬分業率の限界は75~80%と見られています。なぜなら僻地などで保険薬局がない場合や、院内処方のほうが患者さんに都合がいい場合など、処方せんが発行されないケースがだいたい20~25%程度あるからです。平成28年度の医薬分業率は全国平均で71.7%、すでに75%以上に達している県は18県にのぼります。このように医薬分業率は、ほぼ限界ラインに達しており、これからの調剤薬局業界は成長より成熟に向かっていくとみられています。

さらに診療報酬の改定による薬価の引き下げや「かかりつけ業務」への評価の引き上げなど、従来の経営では収益を上げにくくなりつつあります。加えて慢性的な薬剤師不足や、少子高齢化による後継者不足なども、中小調剤薬局にとっては見逃せない問題となっています。

中小規模の調剤薬局にとって、まさに今、一つの正念場を迎えているといっていいでしょう。

変化する薬局の経営環境

成長著しかった調剤薬局業界ですが、ここ数年、薬局数の大きな変化は見られなくなってきています。その一方で、大手調剤薬局チェーンの出店や大手ドラッグストアの調剤事業への参入が目立つようになってきました。「売手市場」だった調剤薬局において、生き残りをかけた競争の激化が進んでいると取ることができます。

さらに、厚生労働省が推し進める「患者本位の医薬分業」を目指す改革も、中小規模の調剤薬局にとって少なくない影響を与えています。24時間対応や在宅対応などの「かかりつけ業務」へ重点が置かれることは、薬剤師の不足や後継者に悩む調剤薬局にとって大きな負担となるといえるでしょう。

また、第7次医療計画により医療機関側の基準病床数の見直しが実施される予定のため、病床の機能の分化及び連携の推進で外来患者の流れも変わるものと予想されます。外来患者の流れが変われば、門前薬局のあり方も見直す必要があると言えるでしょう。

調剤薬局を取り巻く環境が変わっていく中で、中小規模の薬局はいかにして業務を効率化し、利益を上げるようにしていくかを考えていかねばならないでしょう。

まとめ

競争の激化や、調剤業務から「かかりつけ業務」へのシフトは、調剤薬局再編へとつながっていく可能性が高いといえます。今後の生き残りをかけ、平成30年度の診療報酬改定や第7次医療計画での医療機関の変化に早めに対応し、収益力向上に努めていくことが重要でしょう。さらに、これから迎える超高齢化社会に向けて変化する医療・福祉業界の一員として、「患者本位のかかりつけ薬局」へと業務内容を変えていくことも大切だといえるでしょう。

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