AIが介護業界の人材不足を救えるか

  • ウェルネス

介護、AI

2018年03月16日

厚生労働省の推計によると、団塊の世代が75歳以上になる2025年には約38万人の介護職員が不足することが見込まれています。介護業界における人材不足は大きな問題になっており、その対応策の検討が急がれます。人材不足の打開策として、政府は介護ロボットの導入・開発に対し支援を行う方針を打ち出しています。さらにAI(人工知能)を介護に活用する動きが出てきました。
今回は、AI導入と介護業界における人材不足の解消について見ていきます。

現在AIの開発状況

スマートフォンなどの端末に音声検索や音声入力機能が搭載されるなど、AIは私たちにとって身近なものになりつつあります。また、通常のソフトウエアでは扱えない大量データ「ビッグデータ」を扱うAIが開発され、AI自らが知識を積み上げていく機械学習が実用化されています。さらに、情報やデータを分析してAI自身が知識を習得するディープラーニング(深層学習)ができるまでに発達してきています。
このように、AIを活用しようとあらゆる企業が研究を重ねている中、介護業界においても日々の業務にAIを活用する動きが出始めています。

介護業界でのAI開発事例

介護業界において、現時点で開発が進められているAIの活用事例をご紹介します。

・ヘルスケア関連会社がAI搭載介護ロボットを開発
顔認識機能と見守り機能を備えたコミュニケーションロボット。対話が可能なうえ、見守り支援を兼ねることができるため、人手が不足する介護施設での活用が見込まれています。

・大手自動車メーカーがAI搭載の家庭用高齢者介護ロボットを開発中
一人暮らしの高齢者や手足が不自由な人の代わりに、床に落とした物を拾うなどといった家庭内での動作を援助するため、AIを使った家庭用介護ロボットを開発、15年以内に実用化する見込みです。

・大手通信事業会社が介護施設向けAIロボットの開発に着手
介護スタッフによるレクリエーション進行をサポートしたり、ロボット自らが自動でレクリエーションを進行したりするなどといった、コミュニケーションにさらに付加価値を付けたロボットを開発。人手不足の解消に役立つ見込みです。

ご紹介したようなAIロボットが実用化され、コミュニケーションを積極的に取るようになれば、利用者に健康的で楽しい時間を提供できるようになるだけでなく、介護職員の負担を軽減できるかもしれません。

AIの活用に向けた政府の方針

政府は2017年6月に、医療や介護における個々の情報を一元的に把握できるプラットフォームを整備し、誰もが最適な健康管理・予防・ケアを受けられる体制づくりを進めるための「未来投資戦略2017」をまとめました。その中で厚生労働省は、自立支援を重視した介護の展開やケアプラン作成を支援するAIの開発、ロボット・センサーの積極的導入を推進していくと表明しています。

中でも注目されるのが、「AIによるケアプラン作成」です。

介護保険サービスを利用する際、利用者本人やその家族と話し合いながら支援目標を立て、それをもとにケアマネージャーがケアプランを立案します。ですが、利用者1人に対するケアプラン作成には多くの時間を要するため、ケアマネージャーなど介護職員の負担を軽減するために、AIの活用を推進する動きとなりました。

そこで、政府系投資ファンドと大手の介護事業会社がケアプランのAI活用に乗り出しました。両社は新会社を設立し、日本発となるAIによる自立促進・重度化予防のケアプランを提供するためのプロジェクトを始動しました。また、2017年4月14日に開催された「第7回未来投資会議」にて、経済産業大臣が介護分野におけるAIの活用例として新会社の取り組みを紹介し、プロジェクトを後押しする意向を見せました。

この流れが加速することによりAIによるケアプラン作成が実現されれば、業務の効率化が実現でき人材不足の解消に役立つことでしょう。

まとめ

今後は人材不足の施策として、人に替わり多くの作業をAIが担う時代がやってくるでしょう。ですが、AI導入には多額の費用が必要となるため、導入に踏み切れない事業所も多いようです。そこで補助金制度の利用枠の拡大や、利用しやすい小型ロボットの開発など、多くの事業所がAIを導入しやすい環境が整うことを期待したいです。

「ウェルネス」の最新記事

  • 上記コラムのようなお役立ち情報を定期的にメルマガで配信しています。
  • ソリューション・エクスプレス(メルマガ)の定期購読をご希望の方はこちら
  • メルマガ登録