ブランド戦略の概念について。必要性や構築方法を社内で説明できるようになろう

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ブランディング、経営戦略、収益改善

2018年09月13日

皆さんは「CI」という言葉をご存知でしょうか?コーポレート・アイデンティティーの略で、企業が持つ人格(独自の特色など)をデザインやメッセージで発信するという1930年代から始まっていた企業戦略です。
この考え方は、現在「ブランド戦略」「ブランディング」という言葉で使われることが多く、企業の経営において重要な要素の一つとして数えられています。

そこで今回は、「なぜブランディングが大事なのか」「どのように構築するのか」など、経営戦略や商品戦略に活かしたいという方に向けて解説します。

ブランド戦略とは?

そもそも、「ブランド戦略」とは何を目的として、何を行うことを指すのでしょうか。
キーワードとなるのは「他社との差別化」です。現在の市場において唯一無二のサービス・商品を提供することは難しく、商品購入や商談の場、採用市場など様々な場面で他社と比較をされます。

そのような状況下で、自社を選んでもらうためには自社の強みや特色を活かしながらの差別化戦略が必要です。

(1)差別化となるポイントを明確化
(2)そのポイントに市場ニーズがあるのかを検証
(3)メッセージ性のある形で発信する

という一連の流れをもって、「内部・外部に自社そのものや自社のサービス・商品について共通のイメージを持ってもらう」ということが、ブランディングという考え方です。

内部(自社の社員など)を対象としたブランディングは「インナーブランディング」、外部(顧客や株主など)を対象としたブランディングは「アウターブランディング」と呼ばれます。
そのブランディングのために立てる具体的な戦略が、ブランド戦略です。

ブランディングの効果・メリット

ブランディングが成功することによる効果やメリットについて、3つご紹介します。

1:営業力強化、採用力強化
企業やサービスについて、共通したイメージが広まることで、「○○といえばあの会社!」というように人の記憶や心に強く残る・印象付けることができます。
新規営業において強みとなるのはもちろんのこと、採用においても知名度があることで人材が集まりやすくなります。

2:リピート率の向上
ブランドの確立は、顧客の意思決定に潜在的に作用することにも繋がります。
服を買うにあたり、もし愛着のあるブランドがあるとすれば、同じようなデザイン・価格の服がほかのブランドから出ていたとしても愛着のあるブランドを多くの人は選ぶはずです。
ブランドが確立されていると、「他社製品と比較されることもなく」自社を選んで貰える機会が増える点もメリットです。

3:利益率の向上
ブランディング以外で他社との差別化を図ろうとすると、「価格」での差別化が最も単純な差別化要素と言えるでしょう。
しかし、価格競争に巻き込まれると当然利益率も下がります。もしその市場において一定のブランディングに成功していれば、知名度やブランドメッセージへの共感・安心感などの付加価値が生まれ、安値でなくとも顧客を得ることができるようになるのです。

ブランディングの成功事例

事例1:タオルメーカー
あるタオルメーカーは安さで勝る海外産のタオルに市場を奪われており、危機的な状況を迎えていましたが、ブランド戦略の転換で柄物のタオルの取扱いをやめました。
「安心・安全・高品質」というメッセージ性を込めて無地の真っ白のタオルだけを扱うこととしたのです。
その結果、「白いタオル=このタオルメーカー=安心・安全・高品質」という図式がユーザーの頭に刷り込まれていったのです。
安さではなく別の部分、特に品質や安全といった商品の価値を利用者は求めているであろうという点に着目し、
で差別化を図る戦略によって、このメーカーはブランドイメージの定着に成功しました。

事例2:飲料品メーカー
とある飲料品メーカーが販売する炭酸飲料水の売上が、2000年台前半にピーク時の約40%程度まで落ち込みました。
危機感を覚えたメーカーが調査を行ったところ、ユーザーの健康志向が以前よりも高まっていたこと、また中高生から「このブランドの炭酸飲料は古臭い」というイメージが定着していたことが発覚したのです。

ユーザー志向に沿う形でブランドイメージを回復させるための方法を模索した結果、製品の高品質化に着手した以外にも、ターゲット層を明確にした広告戦略を行いました。メインターゲットである中高生には共感性を生む広告を打ち出す一方で、小中学生の親をターゲットにした「安心かつ安全な飲み物である」という広告戦略も取られるようになったのです。

また、「古臭い」と定着してしまったブランドイメージを一度受け入れ、「伝統的」という言葉で再定義した上で発信していくことで、マイナスイメージを取り除く試みも行われました。
その結果、売上がピーク時の40%まで落ち込んだ年の2年後の調査結果では「古臭い」という回答が減り、そのまた2年後には売上も過去のピークを超えるほどまでにブランドイメージが回復しました。

ブランド戦略の構築に必要な3つの要素

ブランド戦略を構築していくために重要とされる要素は「コンセプト」「ポジショニング」「ターゲティング」の3つです。

まずコンセプトですが、これは自社そのものや自社のサービス・商品について「こうありたい」と願うブランド価値を言語化することを指します。
ブランドが何を目指し、そのためにどのような価値を提供できるのか。自社の強みや理念、ポジショニングなどからブランドコンセプトを決定します。

ポジショニングは、「ユーザーにどのように自社そのものや自社のサービス・商品について認識してほしいのか」を言語化することを指します。競合企業がいる中で、自社がどのようなポイントで差別化を図り、ユーザーに唯一無二な価値を認めてもらえるかを、ターゲティング(市場の決定)と市場分析(特性やニーズの把握)などから決定します。

そしてポジショニングを決めるにあたり重要となるのが、どの市場で勝負すべきかというターゲティングの決定です。
・どのような価値を求めるユーザーを対象にするのか
・どのくらいの年代層のユーザーを対象にするのか
・どのような職業のユーザーを対象にするのか
など、顧客のイメージ(ペルソナ)をはっきりさせないと、ターゲットにズレが生じてしまい、本来伝えたいブランドイメージが伝わりにくくなります。

よって順番としては、ターゲティングとポジショニングを行う中でブランドコンセプトを決定し、それをユーザーに様々な方法で伝えるという形です。

まとめ

モノや情報が溢れている現在において、他社と比較されることは避けられません。また、ブランディングは一部の有名な企業が行うものと思われている方が多いかもしれませんが、価格競争では勝つことが難しい中小企業だからこそ、ブランディングは行うべきとも言えるでしょう。

もし今、社内で販売戦略に行き詰まっている製品やサービスがあるのであれば、ブランディングについて社内で検討されてみてはいかがでしょうか。

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