脱はんこ・脱紙でテレワークを推進するために

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、半ば強制的にテレワークの導入が進みました。その中で、日本企業に古くから文化として根付いている「はんこ」や「書類」の処理のために出社せざるを得ないという課題に直面している企業は決して少なくはないでしょう。

長く根付いている文化であればあるほど、その習慣や体質を変えることは決して容易ではありません。しかし政府も脱はんこ文化に向けた取組を推奨している今、企業として本気でこの課題に向き合う時であると言えるのではないでしょうか。

今回は、組織内のはんこ・紙文化に課題を感じている管理部門の責任者・担当者の方に向けて、電子化の推進方法と電子化によるメリットを紹介します。テレワーク時代の効率的な働き方の実現に向けて、是非お役立てください。

【目次】

  • はんこを押す、書類を出すための出社に疑問を持とう
  • 電子化が可能な書類や手続きとは
  • 電子化することによるメリット
  • まとめ ~ 不要な出社を減らすため「脱はんこ・脱紙」へ ~

はんこを押す、書類を出すための出社に疑問を持とう

新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、日本の企業でもテレワークの導入が急速に進みました。ですが、一部では「はんこを押すために出社する」「書類を提出するために出社する」という状況が未だに続いているという事態が起きています。
このような状況になってしまっているのは、はんこを押すことが当然という文化、そして書類でやり取りすることが通常という文化から抜け出せていないことが、根本的な要因なのではないでしょうか。

契約書や請求書、社内手続きに関する申請書など、企業によってはんこを押す必要がある書類や紙での提出が必要な書類は異なります。しかし、これら書類のうち、本当にはんこが必要な書類や紙での提出が必要な書類は、実はごく一部かもしれません。

従来のやり方が全て悪いわけではありません。また、偽装や偽造を防止するなどの観点から押印自体が無くなることはないでしょう。
脱はんこ・脱紙を考える際には、企業で扱う様々な書類や手続きを「このままで良いのか」「変えたほうがより良くなるのか」、あるいは「そもそも不要ではないか」と、疑問を持ってみることです。

電子化やペーパーレス化を進めテレワークを推進するためにも、出社が当たり前ということに疑問を持って業務や手続きの棚卸に取り組んでみましょう。

電子化が可能な書類や手続きとは

さて、電子化を進める場合、書類や手続きの種類が多いと「どこから電子化を進めたらいいのか分からない」というのが正直なところかもしれません。
そこでまずは、どのような書類や業務が電子化できるのかを見ていきましょう。

電子化が可能な業務内容として、注文書や請求書、契約書といった書類や、社内稟議、経費精算、税金・社会保険等の手続などが挙げられます。

書類の電子化は、法律上では2005年に施行された「e-文書法」によって以下のような文書を電子化した文書ファイルで保存することを認めています。

  • 会計帳簿、注文書、契約書など財務・税金関係書類
  • 定款、取締役会議事録など会社関連書類
  • 貸借対照表、損益計算書など企業決算に関する重要書類

また、会計帳簿や国税関係書類についても、1998年に制定された電子帳簿保存法によって電子化が可能です。スキャナーで読み取った領収書やレシートも認められているだけでなく、2022年1月に施行された改正電子帳簿保存法により様々な要件が緩和されました。

このように、書類の電子保存や電子契約が時代とともに容易になっただけでなく、確定申告や決算申告もe-Tax(イータックス)で電子申告が可能です。地方税関係の手続きもeLTAX(エルタックス)で行えます。さらに、社会保険や労働保険、雇用保険の申請もe-Gov(イーガブ)で行うことができ、インターネット経由で様々な手続きが可能になっています。

国が進めた法整備やサービスの整備に合わせて、Web請求書システムやクラウド上で契約を締結できるシステムなど、電子化を支援するシステムやサービスが多く登場しています。
また、承認や決裁、書類申請の確認経路を明らかにしたい場合はワークフローシステムを利用することで業務プロセスを電子化することが可能です。

電子化したい業務により、用いるシステムやサービスは異なります。まずは社内文書から初めてみるなど、自社で優先度が高いと感じるものから取り組まれてはいかがでしょうか。

電子化することによるメリット

時代の流れとともに、はんこ・書類の電子化への取組は本格的に始動しています。書類の電子化を行うことは不要な出社の機会を減らし、テレワークに対応できるようになるだけでなく、ほかにも様々なメリットがあります。
ここでは代表的なメリットをご紹介します。

情報へのアクセスが楽になる

書類が電子化されれば、キャビネットからファイルを出して書類を探すといった煩わしい作業がなくなり、パソコンから欲しい情報にすぐアクセスすることができます。キーワードや日付などの条件で検索もできるため、情報検索スピードも上がります。
書類を別のフロアやオフィス外の倉庫に保管するといった保管場所確保の問題もなくなるため、社内スペースの有効利用も進みます。

印刷代・保管コストの削減

書類を印刷することでかかっていた、コピー用紙・インクの物品代、プリンターの維持費が削減できます。キャビネットや棚、ファイリングするためのバインダー代など、維持管理に必要な経費も不要になるでしょう。また、保管場所として倉庫などを借りている場合は、そのコストも不要になります。

書類の劣化・紛失を防げる

紙の書類の場合、経年劣化は防ぎきれません。また、担当者が変わったことで保管場所が分からなくなり、最悪探し出せないといった事態も電子化によって防げるでしょう。さらに、紙の書類の場合は置き忘れ、誤って廃棄するという紛失リスクがゼロではありません。

電子化はこれらのようなセキュリティー事故を防ぐためにも、有効といえます。情報の機密レベルによりアクセス制限をかけることも可能ですし、いつ・誰が・どの情報にアクセスしたかログを残すことも可能なため、情報を守る観点からも大きなメリットとなります。

ヒューマンエラー(人的ミス)の防止

どんなに気をつけていても、ヒューマンエラーは発生するものです。例えば、紙書類の内容をExcelなどに転記・入力する作業がある場合、担当者に悪意がなくても入力ミスが発生する可能性はゼロではありません。また、入力したデータと元データとのチェックや、そもそも入力に要する時間などを考えると、生産性が高いとは言えないでしょう。

業務上のエラーを発生させない取組のひとつとしても、書類や業務の電子化は有効ではないでしょうか。

契約書の改ざんを防げる

紙の契約書の場合、何者かに書面の内容を改ざん・偽造されることも考えられます。しかし、契約書が電子化されれば、万が一改ざんされたとしても記録がしっかりと残ります。また、電子署名があれば「作成した本人のもの」であることが証明できるようになります。

契約の電子化は業務効率化だけではなく、コンプライアンスの強化にもつながるのです。

まとめ :不要な出社を減らすため「脱はんこ・脱紙」へ

残念ながら、日本は「ペーパーレス後進国」と呼ばれており、これまではんこ・書類の電子化があまり進みませんでした。それはひとつの企業が電子化に成功したとしても、外部の組織とのやり取りではんこや紙の書類をやめることが出来なかったことも一因です。

しかし、新型コロナウイルス感染拡大により、よくも悪くも政府や民間企業の電子化が加速しています。今後、書類のやり取りで「紙や実印」が登場する機会はさらに減っていくことが予想されます。

とは言っても、急に明日から「文書の電子化を始めます!はんこはいりません!」と切り替えることは難しいでしょう。また、急に運用をスタートしては現場も混乱します。
日々の業務の中で、何が電子化をしてメリットがあるかを見極め、無理なくできるところから始めてはいかがでしょうか。自社に合ったシステムやルールを構築し「脱はんこ・脱紙」を推進して、業務効率化とテレワークを積極的に推進していきましょう。

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