PoCとは?意味・実施するメリット・実施ステップ・事例を解説!

概念実証とも呼ばれる「PoC」は、新しい技術やアイデアの研究開発に対し実際実現が可能なのかどうかを確認・判断するために実施される実験・検証作業のことです。PoCはもともと薬品・化粧品メーカーや映画制作会社などで広く行われており、近年はAI・IoT開発に欠かせない手法としても注目されています。
今回はPoCの概要とおおまかな実施の流れ、そしてPoC成功のポイントなどについて解説します。

このコラムを読んで分かること

  • PoCの概要と実施方法
  • 「PoC疲れ」や「PoC貧乏」を避ける成功のポイント

【目次】

  • 「PoC(Proof of Concept)」とは?意味と主な検証項目
  • PoCの実施方法
  • PoCの実施事例|成功例・失敗例別に紹介
  • PoCを成功させるためにおさえておくべき3つのポイント
  • まとめ

「PoC(Proof of Concept)」とは?意味と主な検証項目

「PoC(Proof of Concept)」とは、新しい技術やアイデアが実現可能であるか、十分な効果を得られるかなどを確認するために行われる一連の検証工程のことです。実現性、効果確認、コストなどについて具体的に検証することは、新しい技術やアイデアを生み出す際にとても重要なステップです。

例えば、医薬品などの開発に際して行う臨床試験では、PoCが欠かせません。効果や安全性、効果的な使い方を確認するため、臨床試験ではまず健康な人や動物を対象に第1相試験を、そして患者を対象に第2・3相試験を行うことが一般的です。このうち少人数の患者を対象とする第2相試験がPoCに相当し、より多くの患者を対象とする第3相試験の準備段階として重視されます。

このほか、IT業界や映画業界などにおいてもPoCは重要とされています。例えば、新システムのリリースに先だって行われるプロトタイピング、CG技術などを検証するためのコンセプトフィルム作成などがPoCにあたります。

PoCを実施するメリット

近年、PoCを実施することはとても重要視されています。では、PoCを実施することでどのようなメリットが得られるのでしょうか。ここでは主なメリットを3つご紹介します。

1.システムの実現性や費用対効果を確認できる

PoCを通じて製品の実現が可能かどうか、実際の費用対効果がどのくらいかを確認することで、研究開発を確実に進めることが可能です。また自社スタッフやモニターに製品を使ってもらいフィードバックを得ることで、今後の開発に活かすことができます。
もし検証を行わずに製品をリリースした場合、思わぬ不具合が出てユーザーを混乱させてしまう恐れがあるため、PoCで実現性を確認することは大きなメリットと言えます。

2.無駄なコストの削減につながる

PoCを実施することで、不確実性が何であるかを確認することができます。社会や消費者のニーズに応えられているかどうか、求める効果は十分かといった部分で、ある程度の方向性を確認することができれば、開発・製造過程におけるコストの無駄を早い段階で抑えることが可能です。
少ないコストで最大限の効果を得るためにも、小規模で行うPoCで開発・製造過程をチェックできることはメリットと言えるでしょう。

3.投資家や企業・団体から注目されるきっかけとなる

株式会社などの場合、投資家からの協力がなければ企業としての活動を続けることができません。しかしPoCを通じて製品の実現性の高さを示すことができれば、投資家から高い評価を得て多くの株を買ってもらえる可能性が高まるでしょう。
中小企業などの場合、PoCを機に有力な企業・団体から業務提携オファーを得られる可能性もあります。業務提携が成功すれば、よりスムーズな技術開発や販路開拓の実現にも期待が持てるでしょう。

PoCの実施方法

次に、PoCを実施する際のおおまかな流れについて、5つのステップで解説します。

Step1 目的・ゴールの設定 PoCを通じて知りたい、あるいは得たい結果(ゴール)を明確に定め、そのために必要な実験や検証作業を決定する。
Step2 実験・検証の進め方設定 実験の進め方や、検証用データの収集方法を具体的に決定する。
実験・検証作業はなるべく小規模にまとめつつ、できるだけ実際の使用環境や想定ユーザーに近い属性のモニター、シナリオを準備することが重要。
Step3 実験・検証の実施 Step2で決めた手順に沿って、実験や検証作業を行う。客観的で精度の高い結果を得るためにも、多くの人に利用してもらい意見や評価をもらうと良い。
Step4 評価 Step3で得られたデータを集計し、当初の目的や期待に対しての実現性・リスク・コスト、新たに見つかった課題などについて分析する。
Step5 次のステップへつなげる 評価内容をもとに、今後の研究開発や製造の方針について決定する。
目的・ゴールの修正や調整が必要と判断された場合は、必要に応じてPoCを繰り返す。

PoCの実施事例 ~成功例・失敗例別に紹介~

PoCはただ実施すればよいというものではなく、事前にしっかりと目的・ゴールを決め、準備したうえで実施することが大切です。たとえAIの性能やアイデアの内容が優れていても、PoC実施前の準備が十分にできていなければ不本意な結果となることも考えられます。ここでは、国内におけるPoCの実施成功例と失敗例について解説します。

【成功例】A市:働き方改革に向けたRPAの本格導入

人口減少社会の到来や、超高齢社会の進展といった課題に直面しているA市。市政を効率的かつ効果的に運営していくために、まず検討したのが「市職員の働き方改革」でした。
そこでA市では、民間団体そして大学と共同プロジェクトを立ち上げ、反復が多い単純業務や転記ミスが頻発する業務などに対してRPAを試験導入しました。
RPA(Robotic Process Automation)とは、人間がコンピューター(PC)上で行ってきた作業をAIなどに代行させて業務効率化を図るシステムです。

PoCを実施した結果、対象業務に要していた作業時間を8~9割以上削減できることを確認しました。また、PoCを通じて従業員のICTスキルのばらつきや、手書き文字のデジタル化といった課題も明らかとなりました。

A市はRPA導入の目的を「従業員の長時間労働是正と働きがい向上」とし、RPA導入によってAIに任せられない業務に集中できる環境づくりを目指しています。明確な目的によってPoCの具体的な方向性を示し、他社の協力を得ながら詳細にシナリオを組み立てたことが、PoC成功のポイントとなりました。

【失敗例】B社:AI管理の精度の低さにより継続断念

B社では、人手不足への対応と生産の最適化のために検品作業のAI化を検討しました。
PoCを行ったところ、AIによる検品精度は99%。現行の人力による検品精度99.999%を超えることはできませんでした。現場担当者からは「人間よりも精度が低く使えない」と、AI導入に対して否定的な意見が寄せられ、結果的にプロジェクトの継続を断念しました。

このPoCでは、事前に「AIの検品精度が〇%以上なら導入」といった明確な判断基準を決めていませんでした。そのために、「検品精度は99%」という結果をどう捉えればよいか分からなかったことが失敗要因のひとつとなりました。また、AIによる検品精度が下がった要因は、事前に不良品のデータを十分に収集できていなかったという可能性もあります。

PoCを成功させるためにおさえておくべき3つのポイント

PoCはあくまでも検証のひとつとはいえ、PoCの結果からこれ以上研究開発を続けないほうがよいと判断される可能性もあります。しかしそれは、検証した結果から得られた「プラスの答え」です。
PoCを行ううえでもっとも避けたい事態は、研究開発の断念よりも「PoC疲れ」や「PoC貧乏」に陥ってしまうことです。では、「PoC疲れ」、「PoC貧乏」とはどのような状況を指すのでしょうか。

PoC疲れ
  • PoCを行ったものの期待した結果を得られず、なかなか実際のビジネスへ移行できず行き詰まってしまうこと
  • PoCの膨大な作業に疲弊してしまうこと
PoC貧乏
  • PoCにコストをかけすぎること
  • AI開発などを請け負う企業が発注者から依頼されたPoC費用を自社で負担し、その結果思うように利益を上げられなくなること

PoC疲れやPoC貧乏を避けてPoCを成功させるためには、この後ご紹介するポイントを抑えましょう。

スモールスタートで始める

いきなり大規模なPoCを実施してしまうと準備や評価作業に大きな手間がかかり、本来あるべきコスト削減というメリットがなくなってしまいます。無駄を省きつつ目的のブレを防ぐためには、なるべくスモールスタートでPoCを進めることが重要です。

最初は小規模のつもりでも、工程を進めるうちにどんどんコストが膨れ上がることもあります。こうしたトラブルを防ぐため、PoCにかけるコストや時間の上限をあらかじめ決めておくとよいでしょう。

導入環境と同条件で検証を進める

PoCを実施する環境が実際の導入環境とかけ離れていると、説得力の高いデータを得にくくなり、正確な評価が難しくなります。PoCで得たデータを有効活用するためにも、できる限り導入環境と同じ条件でPoCを行うことが重要なポイントとなります。

PoCを目的にしない

PoCの目的は新しい技術・アイデアの実現性などを確かめることであり、PoCを行うことそのものではありません。しかし、担当者が目的をしっかり理解していなかったり、PoCを何度も繰り返したりすると、PoCそのものが目的と化してしまうこともあります。

PoCはあくまで手段であるという意識を持ち、もしも途中で迷うようなことがあれば原点に立ち戻って目的を確認しましょう。

まとめ

ここまで、PoCの概要や実施の流れ、成功のために押さえるべき点などを解説してきました。改めて、今回のポイントをまとめます。

<このコラムのPOINT>

  • PoCは、新しい技術やアイデアの実現性・効果・コストなどを確認するための検証作業である
  • コストと時間の無駄を省くため、PoCはなるべく小規模かつスピーディーに行う
  • PoCを通じて得たデータや見つかった課題をもとに、今後の研究開発や製品化の方針を決める

PoC成功の鍵は、はじめに目的をしっかり決めておくことです。PoCに関わる全員が目的を共有することで、PoC疲れやPoC貧乏に陥ることなく最大限の効果を得られるでしょう。
今後PoCは、製品やサービス開発の分野だけでなく、DX推進においても利用が高まると予想されます。基本をしっかりおさえて、PoCを活用しましょう。

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