中小企業も月60時間を超える時間外労働の割増率が、50%に引き上げ。概要や企業が行うべきこと

公開:2022年11月09日

更新:2023年06月21日

2023年4月から、中小企業も月60時間超の割増賃金率が50%以上に引き上げられました。対象となる企業では、どのような対応が必要なのでしょうか。
本コラムでは、日本の労働環境の改善に向けた取組である「働き方改革関連法」をおさらいするとともに、「割増賃金率の引き上げ」について詳しく解説します。

このコラムを読んで分かること

  • 働き方改革関連法の概要
  • 中小企業でも適用になる時間外労働 割増率の引き上げについて
  • 割増賃金の種類(時間外労働・休日労働・深夜労働)と割増率
  • 割増賃金の計算方法

時間外労働・深夜労働・休日労働などの時間も正確に自動で計算

【目次】

  • 働き方改革関連法とは
  • 割増賃金とは?中小企業も割増賃金率の引き上げがスタート
  • 割増賃金率の引き上げに向けて企業が行うべき4つのこと
  • 労働状況の把握・法令遵守に不安がある場合は「ALIVE SOLUTION TA」がおすすめ
  • まとめ

働き方改革関連法とは

働き方改革関連法とは、多様な働き方を選択できる社会の実現にむけて、現代の日本が抱える労働環境の課題を改善することを目的とした法律です。正式名称を「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」と言います。
「労働人口の減少」や「長時間労働」、「正規と非正規雇用労働者の格差」、「有給取得率の低迷」、「育児や介護との両立」などの問題を改善すべく、労働基準法など関連する8つの労働法が改正されました。

働き方改革関連法の目的

この働き方改革関連法の目的は、一人ひとりの労働者が各自の事情や状況に応じた「多様な働き方を選択できる社会の実現」です。
「多様な働き方」とありますが、一言でいい表せるものではありません。職場がある場所に縛られずに仕事を続けることができる、介護や育児をしながら仕事も両立する、シニアになっても経験や知識を活かして働き続ける、副業や学び直しなど、ライフスタイルやその時のライフステージに合わせた働き方ができることこそが、「多様な働き方」です。
例えば、新型コロナ感染拡大によって良い意味で普及したリモートワークやテレワーク、フレックスタイム制度や時短勤務などは、多様な働き方を実現するための施策や制度になります。
また、働き方改革関連法は多様な働き方実現の一環として「長時間労働の是正」や「雇用形態に関係のない公正な待遇の確保(非正規雇用労働者の保護)」などを行い、働き方改革全体を推進することも目指しています。

時間外労働の割増率とは?中小企業も割増賃金率の引き上げがスタート

さて、ここからは、長時間労働の是正に関連する施策である「割増賃金率の引き上げ」についてみていきましょう。割増賃金とは何か、割増賃金率引き上げの目的などをご紹介します。

割増賃金とは法定労働時間を超えた際に支払う必要がある賃金のこと

法定労働時間は、原則1日8時間、週に40時間(※労働基準法に基づく)と定められています。ただし、企業が労働者と36協定を結んで「労働基準監督署」に届け出れば、法定労働時間を超えて労働者に労働してもらうことが可能です。その代わりに、法定労働時間を超えて働いた労働に対して、企業は通常の賃金に割増した金額を労働者に支払わなければなりません。これを「割増賃金」といい、割増賃金率は労働基準法37条によって定められています。

2023年4月から中小企業における時間外労働の割増率が50%に引き上げ

割増賃金率の引き上げは、2010年に労働基準法が改正され、月60時間超の時間外労働に対する割増率が25%以上から50%以上へと引き上げられました。ただし、このときには事業者に大きな影響を与えかねないとし、時間外労働に対する割増賃金率の引き上げ適用は、大企業のみでした。

猶予期間が設けられていた中小企業ですが、2018年の労働基準法改正により、猶予措置が廃止されることが決定。2023年4月からは中小企業も、月60時間超の割増賃金率が50%以上に引き上げられました。
なお、中小企業に該当するかは業種ごとに「①資本金の額または出資金額」または「②常時使用する労働者数」を満たすかどうかで、企業単位で判断されます。以下の表を参考に、自分の会社が該当するか確認しましょう。

[出典:月60時間を超える時間外労働の 割増賃金率が引き上げられます(厚生労働省)

割増賃金の種類(時間外労働・休日労働・深夜労働)と割増率

さて、月60時間超の時間外労働に対する割増率が50%以上へと引き上げられましたが、そのほかの休日労働や深夜労働においても、割増賃金を支払う必要があります。改めてここで確認しましょう。

労働の種類 労働時間 割増率
時間外労働 法定労働時間が1日8時間、週40時間を超える場合 25%以上
時間外労働が限度時間(1か月45時間、1年360時間)を超えたとき 25%以上(※)
月60時間を超える時間外労働(※中小企業への適用は2023年4月から) 50%以上
法定休日労働 法定休日の労働 35%以上
深夜労働 22時から翌5時の労働 25%以上
25%を超える率とするよう努める必要がある(労働基準法第三十六条第一項の協定で定める労働時間の延長及び休日の労働について留意すべき事項等に関する指針第5条第3項より)

割増賃金の計算方法

割増賃金の計算方法は従来同様、「各労働者の1時間あたりの賃金(基礎賃金)×割増率×時間外労働時間数」です。

[出典:労働基準法 - しっかりマスター 割増賃金編 「残業手当」 「休日手当」(東京労働局ホームページ)

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割増賃金率の引き上げに向けて企業が行うべき4つのこと

次に割増賃金率の引き上げに向けて、企業が行うべきことを紹介します。

(1)適正な労働時間を把握する

まず、労働者の適正な労働時間を把握しましょう。厚生労働省では「労働時間の適正な把握のために講ずるべき措置に関するガイドライン」が示されており、「使用者は、労働時間を適正に把握するため、労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、これを記録すること」と記載されています。
原則的な記録方法は、2つ挙げられています。

  1. 使用者が、自ら現認することにより確認し、適正に記録すること
  2. タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること

そのほか、企業(使用者)は労働者ごとに、労働日数、労働時間数、休日労働時間数、時間外労働時間数、深夜労働時間数といった事項を賃金台帳に適正に記入しなければならないとされています。賃金台帳は、最後に書き入れた日から起算して5年間保存しておくことが義務づけられおり、また、出勤簿やタイムカード等の労働時間の記録に関する書類についても、3年間保存(※)しなければなりません。

ここでポイントとなるのは、『客観的』な記録であることです。誰が見ても、もっともだと納得できる方法で記録した情報でなければなりません。労働者が何時から始業し何時に終業したのか、適切に管理しましょう。

~ ※ ちょこっとメモ:労働時間の記録に関する書類の保存期間は5年に変更~

2020年4月の民法改正に伴い労働基準法第109条も改正され、「使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を5年間保存しなければならない。」となりました。
今のところは経過措置が適用されているため、3年間の保存でも良いとされています。

(2)代替休暇制度を取り入れるか検討する

長時間労働の是正を目的とした割増賃金率の引き上げですが、これは労働者の健康を守るというという目的もあります。そのため、時間外労働を行った労働者に対し、引き上げ分の割増賃金支払いに代えて代替休暇を付与することが可能です。

ただし、代替休暇制度を導入するためには労働者の過半数で組織する労働組合、また組合がない場合は労働者の過半数を代表する者との間で労使協定を結ばなければなりません。

代替休暇は月60時間を超える時間外労働で引き上げとなる割増賃金分に限り利用できます。したがって、通常の時間外労働に対して支払われる(25%以上の割増率)割増賃金は、支払う必要があるため、間違えないようにしましょう。
また、制度として代替休暇制度を取り入れるか検討すると良いでしょう。

(3)業務効率化する

割増賃金率の引き上げは長時間労働の是正が目的であるため、月60時間を超える時間外労働をしないことが一番です。そのため、現在の長時間労働の原因を追求するためにも、業務の内容や流れを整理しましょう。労働者によって、仕事の偏りがないかも確認してください。整理した内容の中で無駄が見つかれば見直し、業務効率化を進めましょう。

(4)就業規則を見直す

就業規則を見直しましょう。厚生労働省のホームページには「モデル就業規則」が掲載されていますので、参考にされると良いでしょう。

労働状況の把握・法令遵守に不安がある場合は「ALIVE SOLUTION TA」がおすすめ

労働時間を正確に把握するとともに、労働基準法等の法令に遵守するには、勤怠管理システムの導入がおすすめです。
当社の「ALIVE SOLUTION TA 就業システム」は、客観的な労働時間管理と法令遵守を強力にサポートし、従業員の健康と会社の双方を守るシステムです。
「ALIVE SOLUTION TA 就業システム」では、特許を取得している「3点管理(①自己申告する始業・終業時刻、②パソコンのログオン・ログオフ時刻、③ゲート通過などの入退室時刻)」を用いて、勤務時間を正確かつリアルタイムに記録することが可能です。
また、労働基準法(36協定)・労働安全衛生法等の観点でチェックできる、専用の管理画面をご用意しております。それだけではなく、注意喚起機能により時間外労働の累計時間がリミットに近づくとアラートが表示されるなど、法令違反・協定違反をしない・させないだけでなく、未然に防ぐ・自ら気づくことができる仕組みで、従業員の労働時間に関する意識を高めることが可能です。

「ALIVE SOLUTION TA 就業システム」はテレワークやフレックスタイム制、シフト勤務など柔軟な働き方に対応していますので、管理する側の負担が増えることなく働きやすい勤務形態を実現できます。
従業員の健康を守り、さらに管理する立場も安心してご利用いただける「ALIVE SOLUTION TA 就業システム」を、ぜひご検討ください。

まとめ

今回は日本の労働環境改善を目指して施行された「働き方改革関連法」から、長時間労働の是正を目的とした施策のひとつ「割増賃金率の引き上げ」についてお伝えしてきました。
時間外労働の割増率についても注意が必要です。
本コラムのポイントを改めてまとめます。

<このコラムのPOINT>

  • 「割増賃金率の引き上げ」は、働き方改革関連法案の主旨である長時間労働の是正を目的とした施策のひとつ
  • 月60時間を超える場合の割増賃金率50%以上は、2023年4月より中小企業にも適用される
  • 割増賃金率の引き上げに向けて企業が行うべきことは、「労働者一人ひとりの適正な労働時間の把握」「代替休暇の検討」「業務効率化」「就業規則の見直し」の4点

これまで割増賃金率の引き上げが猶予されてきた中小企業も2023年4月以降は、一律50%以上になりました。まずは本コラムでご紹介した「割増賃金率の引き上げに向けて企業が行うべき4つのこと」を行いましょう。そして、法令の遵守や労働時間の適正な把握に不安がある場合は、「ALIVE SOLUTION TA 就業システム」を、ぜひご検討ください。

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