かかりつけ薬剤師の現状とこれから。患者さん視点で感じていることとは?

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医療・調剤薬局、薬剤師、在宅診療

2018年07月12日

身近にいる薬の専門家としての役割を持つ「かかりつけ薬剤師」は、患者さんにとってもメリットの大きい制度であり、これからの超高齢化社会において薬局に求められる価値を考えるうえでも欠かせない存在です。制度導入から2年が経ちますが、今後、かかりつけ薬剤師に対する需要は増すことが予想されます。

しかし、実際のところ患者さんは「かかりつけ薬剤師制度」をどう感じているのでしょうか。今回は、今後の薬局経営にあたってのアイデアの一助になるべく、利用状況やアンケートから見えた「制度と利用者との意識のズレ」などについて改めて考えてみましょう。

かかりつけ薬剤師制度が導入されてから現在まで

平成28年の4月より制度がスタートした「かかりつけ薬剤師」。導入にあたり見込んでいた効果である残薬(薬の飲み残し)調整による薬剤費の削減や、相互作用のある薬の組み合わせ防止、患者さんにとってのオンリーワンになれることで薬剤師自身のやりがいに繋がるなど、導入にあたり見込んでいた効果も実際に現れています。

また平成30年度調剤報酬改定の中では、かかりつけ薬剤師の要件の見直しが行われ、薬剤師の在籍期間が6ヶ月以上から12ヶ月以上に変更されるなど、国が主体となって制度を適切に運用するための見直しも積極的に行われております。

ですがその一方、制度のことをまだ良くわかっていない患者さんもまだまだ多くいるなど、今後に向けた問題点も浮かび上がっているのが現状です。

患者さん視点でのかかりつけ薬剤師制度のメリットとデメリット

かかりつけ薬剤師の制度について、患者さんとしてはどのようなメリットやデメリットがあるのか、今一度おさらいしてみましょう。

■メリット
・服薬状況を一元管理してもらうことで安心して薬を使える
一人のかかりつけ薬剤師に服薬状況を管理してもらうことで、重複投薬や相互作用などを気にせず安心して薬を飲むことができるようになります。

・夜間や休日でも相談することができる
薬局が空いていない夜間や休日であっても、緊急時には24時間対応でかかりつけ薬剤師に電話で相談することができます。

・在宅医療をお願いできる
薬局に足を運ぶことが難しい場合には、在宅での服薬指導をお願いすることができます。
高齢化社会が進む今後において、病院に通うことが難しい患者さんからの在宅医療のニーズは今後ますます高まることが予想されます。

■デメリット
・自己負担額の増加
もしかかりつけ薬剤師を指定した場合、3割負担の患者さんであれば60~100円程度の自己負担額が生じます。

・同じ薬局に通うことの不便さ
複数の病院に通っている場合、これまでは各病院の近くの門前薬局に通うことが一般的であったところを一つの薬局に統一することで、アクセス的に不便を感じる患者さんが出てくる可能性があります。

患者さんがかかりつけ薬剤師に対してどう感じているのか

では実際に、患者さんはかかりつけ薬剤師に対してどう感じているのでしょうか。
厚労省が発表した「平成30年度のかかりつけ薬剤師・薬局に関する調査の報告書」を参考に、ご紹介します。

まず「自身に対応する決まった薬剤師の業務に対する満足度」について、「大変満足している」という回答が79.5%、「やや満足している」が17.7%と、患者さんにとってかかりつけ薬剤師は高い満足度を提供できていることが伺えます。

また、「自身に対応する決まった薬剤師がいて良かったこと」という質問については、「以前から服用している薬との相互作用について確認してもらえた」という回答が63.0%と最も多く、次いで「薬についてわかりやすく説明してくれた」という回答が60.0%と、総じて薬についての不安を持っていた患者さんが多く、その不安をかかりつけ薬剤師によって解消できたことが高い満足度に繋がっているということが見えてきました。


一方、「自身に対応する特定の薬剤師を決めない(持たない)理由」については、「病院・診療所ごとに近い薬局を利用する方が便利なため」という回答が41.7%と最も多く、次いで「薬局を利用する機会が少なく必要性を感じないため」が 22.1%でした。やはり利便性を優先したいという考えや、必要性をそこまで感じていない方も多くいるということがわかります。
また、日頃から「一人薬剤師薬局」を利用されている方の場合には「かかりつけ薬剤師制度を利用せずともきちんと説明してくれるためメリットを感じない」という意見や、利用する薬局を決めている方の場合には「利用する薬局にいる薬剤師であればどなたでも信頼しているから」といった声もありました。


以上のことから、「かかりつけ薬剤師」そのものに対しては高い評価を得ているものの、同意書への署名や、別料金の支払いまでして「かかりつけ薬剤師制度」を利用したいと考えている人は、それほど多くないのではないか、ということが見えます。

かかりつけ薬剤師制度の認知を広めるために

前項でご紹介したアンケートでは「かかりつけ薬剤師の認知度」についても調査しており、「良く知っている(内容を理解している)」という回答が36.2%、「少し知っている(聞いたことがある)」が40.4%、「全く知らない」が17.3%でした。残念ながら認知が広まったと言い切るにはまだ早いような状況です。

制度の認知を広めるにあたり、既に多くの薬局でも実施されている患者さんへの積極的な声がけやパンフレットを使った制度の説明などを粘り強く行うと共に、地域イベントへの参加頻度を増やすなどで「地域に根ざした薬局である」というイメージを患者さんに持ってもらうことも、かかりつけ薬剤師の制度についての理解が広がる一助になることかと思います。

また、財政制度等審議会が2018年5月23日に提出した「新たな財政健全化計画等に関する建議」の中では、「医療・介護制度改革の視点1」として「受診時定額負担の導入」を挙げました。かかりつけ薬剤師制度のデメリットの1つでもある「自己負担額増加」を解消する案として、かかりつけ薬局以外を受診した場合に患者に対し定額負担をしてもらうというものです。制度を継続させていくのであれば、このような見直しも必要なのかもしれません。

患者さんとの信頼関係から成り立つ「かかりつけ薬剤師」。正しく評価されるためにも、今後の国の動向を見守りたいものです。

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