ARビジネスの事例に見るAR活用のポイントとは

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AR、VR、IT用語解説

2018年11月29日

ARとは、現実には存在しないものをリアルな空間に描写するという概念で、「拡張現実」という意味として使われています。身近なものとして意識することはまだ難しいと思われているかもしれませんが、コンシューマ(一般消費者)向けのスマートフォンアプリなどで既にAR技術が活用されており、AR技術とは知らない間に触れたことがあるという方も多いのではないでしょうか。

以前ご紹介したVR(仮想現実)のビジネス活用に引き続き、今回はARのビジネス活用の事例や活用におけるポイントなどをご紹介します。

ARとVRの違いについて

ARとVRは似たような概念として取り上げられることが多いですが、この2つは似ているようで厳密には異なる概念です。それぞれの特徴について改めてご説明します。

<AR>
AR(Augmented Reality)とは、実際の現実空間の上に何かを描写するという拡張現実の概念です。
分かりやすい例でいうと、2016年に日本でリリースされて社会現象にまでなった某スマートフォン向けのゲームアプリはARの技術を活用しています。画面上に表示される現実空間の中にモンスターが映し出されるという技術に、驚いた方も多いのではないでしょうか。

<VR>
VR(Virtual Reality)とは、人間の五感を刺激することで物理的に存在しないものをあるものとして認識できるようになるという仮想現実の概念です。
専用の機器を装着することで、目や耳を通して自宅にいながらまるでリゾート地のビーチを歩いているような感覚を体験することができるというのもVRコンテンツの一つです。

ARは現実空間を活用した技術、VRは仮想空間を活用した技術と言えば分かりやすいでしょうか。

ARのビジネス活用の事例

先ほど取り上げたゲームアプリの例以外で、実際に既にAR技術がビジネス活用されているという事例をご紹介します。

家具×AR

グローバル展開中の家具量販店がリリースしているスマートフォン向けAR対応アプリは、AR技術を利用して自分の部屋の中に実寸台の家具を「試し置き」することができます。
カタログの中から自分が気になっている家具を選び、スマートフォンを部屋にかざすだけで、まるでの家具を部屋に置いてみたかのように見ることができます。そこで、どのように景観が変わるのか、そもそもサイズ感はあっているのかなどを購入前にリアルに近い形でチェックできるため、買い物に対する不安を軽減することができます。

建設現場×AR

建設機械メーカーとIT企業が協力して制作した業務用のスマートフォン向けARアプリは、事前に現場で実寸大の建設機械(ショベルカーなど)を映し出せるため、配置可否の判断が出来たり、施行中の現場に完成設計図面の3Dモデルを映し出すことで、工事の進捗を確認出来たりするため、業務効率の向上に役立っています。

今後は油圧ショベルにタブレットを設置し、設計通りの施行ができているかをオペレーターがリアルタイムで確認できるなど、新しいARサービスの本格的な導入も同社で予定されています。人手不足や技術の継承が課題となっている建設業界に変革が起きるかもしれません。

ネイル用品×AR

ネイル用品を何種類も試すには塗ったものを落とさなければならないという手間がかかるため、他の化粧品と違い店頭で気軽に試用することは難しい製品です。しかし、購買意欲を高めるためには、様々な製品を試してもらいたいとコスメブランドは考えていました。
そこで、自分の爪をカメラの前にかざすだけで、様々なカラーやデザインを試すことができるスマートフォン向けARアプリを、コスメブランドがリリースしました。同社のこのARアプリは2012年頃から話題になっていたことを考えると、この会社は早くからAR活用に目を付けていたと言えるでしょう。

ARのビジネス活用におけるポイント

事例を3つほどご紹介しましたが、ビジネスにおけるAR活用のメリットを考えてみると、視覚的に多くの情報を分かりやすく伝えることができるという点が一番大きいのではないでしょうか。VRのようにコンテンツそのものを売るというよりは、どちらかと言えばAR技術を通じ情報を発信することで、販促効果や業務効率の向上を期待するというような活用がされている方が、現時点では多いように感じます。

ARのメリットは、物理的な現実の世界にデジタルコンテンツを重ねられることにあります。
例えば、外科手術を行う際に事前に検査したデータを、患者と重ねることで患部の位置を明確にする、地震などの緊急事態訓練として、棚が倒れ、物が落ちる映像を見ながら実際に建物の外まで避難をするなど、コンテンツとしてビジネス活用に繋がるアイデア・事例はまだまだあるのではないでしょうか。

まとめ

ARは、「世界の見え方を変えることができる技術」と呼ばれています。現在は主に視覚を拡張する技術が活用されていますが、今後、聴覚や嗅覚、触覚などほかの感覚器官にも働きかける研究が実用化された際には、現実空間に本当に「ある」か「ない」かの違いでしかない拡張された第二の現実空間という概念が生まれるかもしれません。

そのようなARやVRの技術の進化に伴い、今後も続々と斬新なビジネスモデルが生まれることが予想されます。企業が成長するための道具のひとつとしてARやVRを活用した新規ビジネスのアイデアを考えてみるのも、面白いのではないでしょうか。

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