企業に不可欠なメールセキュリティー対策
~種類や必要性、知っておきたい外部脅威~

メールセキュリティー対策とは、外部から届くメールの中で脅威になりかねないウイルスなどを防御すること。最近では毎日のように新たなマルウェアが誕生しており、私たちを取り巻くビジネス環境は多くの脅威に晒されています。

そこで本コラムでは、把握しておきたい外部脅威とメールセキュリティーの機能や役割、企業ができるセキュリティー対策についてご紹介します。

このコラムを読んで分かること

  • メールセキュリティーにおける3種類の外部脅威
  • 受信と送信ごとのメールセキュリティーの種類と対策方法

【目次】

  • メールセキュリティーにおける外部脅威
  • メールセキュリティー対策の重要性
  • 【受信対策】メールセキュリティーの種類
  • 【送信対策】メールセキュリティーの種類
  • まとめ

メールセキュリティーにおける外部脅威

年々巧妙化するメールを用いた外部脅威。その種類も増えており、どのような脅威や危険があるのか、よく理解できていない人も多いのではないでしょうか。そこでまずは、メールセキュリティーにおける具体的な外部脅威についてご紹介します。

迷惑メール

受け取る側の意向を無視して一方的に送りつけられるメールのことを、総称して「迷惑メール」と呼びます。迷惑メールにはさまざまなタイプがあります。代表的なものには、「スパムメール」や「ウイルスメール」などがあり、目的もさまざまです。

スパムメール

スパムメールとは、無差別に大量送信されるメールのことです。商品の広告や宣伝を目的としたものや、出会い系サイト、有料サイトへの誘導を目的としており、受信者の意向を無視して一方的に繰り返し送られてきます。

ウイルスメール

ウイルスメールとは、その名の通りメール受信者のPCをウイルスに感染させるために送られてくるメールです。メールに添付されたファイルを開くだけでウイルスに感染する、メール内のURLをクリックするとウイルスが仕込まれているサイトが開き感染する、といった方法で感染します。
ウイルスに感染してしまうと、PC内に保存されている個人情報が盗まれたり、アドレス帳に登録したメールアドレス宛に勝手にウイルスメールをばらまく、PCが動かなくなるといった被害をもたらします。

フィッシングメール

フィッシングメールは、ユーザーIDやパスワード、クレジットカード情報などの個人情報を盗むことを目的としたメールのことをいいます。例えば、ショッピングサイトや金融機関からのメールを装い、メールに記載されたURLへアクセスさせることで、公式サイトに似せた偽サイトへ誘導し、盗むといった手口を使います。

架空請求メール

架空請求メールとは、見に覚えのないサイトの利用料を請求してくる詐欺メールです。「期日までに支払わない場合は法的措置をとる」など、メール受信者の不安を煽るような内容が書かれていることもあります。

標的型攻撃メール

標的型攻撃メールとは、迷惑メールのように不特定多数への送信ではなく、特定の相手、例えば企業や組織、個人を狙って送り付けられる悪質なメールを指します。
先程ご紹介したウイルスメールが送られてくることが多く、以下のように、あたかも本当の業務に関連する内容であるかのごとく装ったメールが送られてきます。

  • 業務に関係するような件名や内容がメールに書かれている
  • 実在する取引先を装ってメールが送られてくる
  • 添付ファイル名が「請求書」や「見積書」など、あたかも本当の業務に関連する内容に装っている
  • 件名に「重要」、「緊急」と入っており、つい開いてしまう工夫がされている
  • 公的機関からの注意喚起や周知を装ったメールもある

標的型攻撃メールだと気付かずに添付ファイルを開封してしまい、マルウェアに感染するといったケースが増えています。個人情報や機密情報が漏えいする、社内のネットワークを介して他の従業員のPCにもウイルスをばらまくといった恐れもあります。

メールの傍受(盗聴)

悪意ある第三者がメールの送信経路を傍受し、通信内容を盗み見る、改ざんするといった脅威により、企業にとって重要な情報が漏えいするようなケースもあります。
これは、メールの送信経路やメール自体が暗号化されていないことが原因として考えられます。いくら添付ファイルを暗号化しパスワードをかけたうえに、別のメールでパスワードを送ったとしても、同一経路で通信している以上、盗聴されていれば意味がありません。
メールの傍受により、IDやパスワードが盗まれ不正アクセスに利用されたり、個人情報や機密情報が漏えいしたりすると、社会的信頼を大きく損なうことになり、企業のイメージダウンは避けられません。

~ ちょこっとメモ:マルウェアとは? ~

マルウェアとは「悪意のある」を意味する「malicious(マリシャス)」と「software(ソフトウェア)」の2つの単語を組み合わせた造語です。ウイルスをはじめ、トロイの木馬、ワーム、スパイウェアなど、ユーザーのデバイスに不利益をもたらす悪意のあるプログラム、ソフトウェアを総称する言葉として用いられます。
マルウェアは、さまざまな感染経路が確認されています。

  • メールの添付ファイルに埋め込まれている
  • メールに記載されたURLをクリックし、Webサイトを閲覧することによってマルウェアに感染する
  • Webサイトに掲載されている資料や画像に潜んでいて、ダウンロードすることで感染する
  • ファイル共有ソフトを利用したことで、共有ファイルにウイルスが仕込まれてしまう

コンピューターがマルウェアに感染してしまうと「パフォーマンスの低下」や「データの破損」、「不審なポップアップが表示される」などの症状があらわれます。また、メールサーバーが不正操作され、登録されているメールアドレス宛にマルウェアを添付したメールが送信されてしまうことも。ウイルスの拡散に加担させられ、責任を追及される可能性もあります。

メールセキュリティー対策の重要性

現在では企業や個人を問わず、コミュニケーションツールのひとつとして、日常的にメールが活用されています。メールがなければ、仕事のやりとりが成り立たない人も多くいるでしょう。
しかし、メールが普及するにつれ、メールを狙ったサイバー攻撃も日々増加しています。最近はその手法も巧妙化しており、また、毎日のように新たなマルウェアが登場しているという現状もあります。
リモートワークも普及し、働く環境が急速に変化している現代。安全で快適なビジネス環境を作るためには、さまざまな外部脅威を防御できるメールセキュリティー対策が必要となってきます。

メールセキュリティーに限らず、機密情報や個人情報などを狙ったサイバー攻撃対策や、テレワークでも安心して業務を行うことができる環境整備をお考えなら

【受信対策】メールセキュリティーの種類

メールは受信だけでなく送信する際にも危険性があるため、被害を防ぐためにはどちらにも、セキュリティー対策を講じる必要があります。まずは、受信メールに施せるセキュリティー対策をご紹介します。

スパム対策

受信者の意向を無視して無差別かつ大量に送られてくるスパムメール対策として一般的に利用されているのが、フィルタリング機能です。
メールフィルタリングとは、事前に設定した条件に基づいてすべての受信メールを精査し、スパムメールだと判断したものはメールサーバー側で排除する設定です。受信者の手元にメールが届く前に遮断することができます。
また、メールサーバー側だけでなく、メールソフト側の2段階で対策することで、より高度にスパムメールを排除できます。

マルウェア対策

アンチウイルスソフトやウイルス対策ソフトでメール本文、添付ファイルに仕込まれるマルウェアを検知、除去する方法があります。しかし、この対策を行っても全ての脅威を取り除くことはできません。
そこでマルウェア対策として、「サンドボックス」が用いられることがあります。サンドボックスとは、外部から受信したプログラムを実際の環境下で実行する前に、いったん隔離された疑似的な領域で実行して検証する仕組みです。実際に動かしてみて、問題がないことを確認することができるため、未知の脅威にも対応できるセキュリティー対策です。
そのほか、脅威インテリジェンスという手法が用いられる場合もあります。脅威インテリジェンスとは、攻撃者の意図、能力、設備など脅威に関する情報を収集し、知り得た知見をもとに対処する手法です。未知の脅威であっても、さまざまな事例や情報を参照することにより、適切な対応が施せます。

メール無害化

受信したメールを開く前に、安全な形に変換することをメールの無害化といいます。メール本文や添付ファイルに仕掛けられているマルウェアなどに対し、被害を最小限に抑えることができます。メール無害化の仕組みはいくつかあり、具体的には以下のような方法があります。

  • 添付ファイルをPDFやテキスト形式に変換する
  • メール本文に記載されているURLをリンク無効にする
  • HTMLメールをテキストメールや画像、PDFに変換する

日々注意していても、誤って添付ファイルを開いてしまった、URLをクリックしてしまったといったことは起こってしまいます。しかし、メールや添付ファイル自体を無害化すれば、より安全に安心してメールや添付ファイルの確認ができる点が、無害化のメリットです。

【送信対策】メールセキュリティーの種類

続いては、送信メールに施せるセキュリティー対策をご紹介します。

メールの暗号化

メールの暗号化とは、メール本文や添付ファイルなどの内容を第三者からアクセスされないように保護することです。ビジネス間でのメールのやり取りには、個人情報や機密情報を扱うことも多く、ファイル開封のためのパスワードなどをメール本文で伝えることがあります。これが誤って第三者の手に渡れば、大きな損害を与えかねません。
そこで、メールの暗号化が推奨されています。暗号化ソフトを導入すると、あとは通常通りにメールを送受信するだけで自動的に暗号化されます。

誤送信の防止

外部からの攻撃だけでなく、メールの誤送信による個人情報の漏えいなどのリスクも潜んでいます。宛先を間違えたり、送るものではないファイルを添付したりと、このような人為的ミスによる誤送信は細心の注意を払っても、100%防ぐことは難しいでしょう。
そこで、メール誤送信対策ソフト・ツールによる防止対策が重要になってきます。メール誤送信対策ソフトには、添付ファイルの自動暗号化や送信メールの一次保留、承認後に送信される機能、ポップアップによる注意喚起などさまざまな機能があり、導入することでメール誤送信のリスクを減らすことができます。

まとめ

ここまでメールセキュリティーにおける外部脅威や、セキュリティー対策ついて解説してきました。今回の内容を以下にまとめます。

<メールセキュリティーのPOINT>

  • メールセキュリティーにおける外部脅威には「迷惑メール」「標的型攻撃メール」「メール傍受」などがある
  • リモートワークの普及や急速に変化を遂げている現代のビジネスでは、さまざまな外部脅威に対するメールセキュリティーが重要
  • メールセキュリティーには受信対策と送信対策がある

メールにおける外部脅威は、時代を追うごとに種類も増え、進化しています。多くの企業でリモートワークが普及し、急速にビジネス環境が変化している今、個人や企業のプライバシーや情報を守るためには、メールセキュリティーは非常に重要です。

メールセキュリティーに限らず、機密情報や個人情報などを狙ったサイバー攻撃対策や、テレワークでも安心して業務を行うことができる環境整備の重要性は、日々高まっています。
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