AI(人工知能)を使う同時通訳システム

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AI(人工知能)

2017年07月03日

2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて、競技場や道路、宿泊施設などの開発が始まっています。
IT技術を駆使したサービスも、急ピッチで準備が進められています。大勢の訪日外国人にとって日本での滞在を快適に過ごしてもらえるように、位置情報測定・案内を高い精度で行う日本独自のシステム導入や、交通機関をよりスムーズに運行できる技術の実用化に向けた取組など、IT技術を活用したサービスを世に送り出そうとしています。
その中で、政府はAI(人工知能)を使う同時通訳システムを実用化する方針を成長戦略に盛り込みました。

AIを使う同時通訳システムとは

同時通訳システムは、利用者が手元にあるスマホに向かって自国語を話すと、リアルタイムで他の言語に翻訳し、その場で音声として出力する仕組みです。もちろん、相手の言語を聞き取って通訳もしてくれます。
AIが大量の多言語データを高速で読み込み、人間のように学習するという「ディープラーニング(深層学習)」と呼ばれる最新技術が、通訳の精度を飛躍的に向上させて、同時通訳システムが実用化できるまでに力をつけたのです。

同時通訳システムは開発競争中

同時通訳システムの開発は世界中で行われていて、日本も開発競争に参戦しています。
総務省所管のNICT(情報通信研究機構)が開発したシステムは、スマホの無料アプリで提供されていて、日本語、英語、中国語、スペイン語、ベトナム語など31言語の間で、音声による自動翻訳ができるまでになっています。さらに、NICTは国内企業に技術提供し、様々な場面で使える通訳システムを各社が開発しています。日本語で話すと外国語訳の音声が出る拡声器や、病院で医師と外国人患者の間にタブレット端末を置いて会話できるシステムの試作もされています。
日本で作られたこのシステムは、翻訳に一定の時間や作業を必要とする「逐次通訳」で、目標とするのは、話す後から追いかけるように訳す「同時通訳」ができるようにすることにあります。

一方、米大手ソフトウエア企業は、今年4月、ネットを介した日本語翻訳サービスに参入してきました。これまで、英語や中国語、スペイン語などの9言語の翻訳に対応してきたスマホアプリを、10番目の言語として日本語に対応させて日本に上陸してきたのです。利用者は自分が話す「翻訳前の言語」と、相手が聞く「翻訳後の言語」を設定して話すだけで、お互いに翻訳音声を聞いて対話できるようになっています。プロの通訳のような正確で迅速な翻訳とまではいかないものの、翻訳のスピードは従来より同時翻訳に近づいていて、訪日外国人とのコミュニケーションの補助的な道具としては十分に使えるレベルの力を持っています。

まとめ

たくさんの人が使うことでAIは学習して性能が向上していきます。今はまだ的確な翻訳ができる水準に達していなくても、システムは収集した会話データをAIで分析して学習を継続し、またプログラムを外部に公開することで、多様な企業が使い方を考案して、ますます改善が進むことが期待できます。徐々に世界中の人とのコミュニケーションのハードルが低くなっていくことでしょう。

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